博士前期課程

教育目標

情報科学は、人間の思考や学習を基盤にして、社会活動に大きな影響を与えます。そのため、情報分野の学部を卒業した人だけでなく、さまざまな分野の多様な経歴を持った人を大学院生として受け入れます。周到に準備されたカリキュラムによる学習と、多様な経歴を持った人々の中での研究活動により、広い視野と着実な技術を備えた修士(工学または理学)を育成します。
進路としては、博士後期課程に進んで研究を深めること、企業において産業活動や社会活動に携わること、あるいは、自ら起業して新しい息吹を直接社会に活かすことなど、いろいろの可能性を選択できるようにしています。いずれの方向であっても、情報科学に関連する幅広い知識と関心がある専門分野の先端の知識を修得すること、プレゼンテーションやコミュニケーションの能力を修めること、国際的に活躍するために英語の能力を高めること、適正な倫理感をもつことなどが不可欠です。これらの能力を備えて、社会の変化に柔軟に対応して活躍できる人の育成を目指しています。

指導計画と方針

1.多様な経歴と志望分野にあわせた授業の選択に応えるカリキュラム

情報科学は社会のあらゆる分野において基盤となり、その技術はいたるところで利用されています。先端の技術は競争が激しく、変化が早く、社会に及ぼす影響も甚大です。
そのため、カリキュラムとして、長期にわたって基盤となる科目、専門的な科目、先端的・学際的な科目を体系的に揃えています。科目が対象とする分野を、「コンピュータ科学」「メディア情報学」「システム情報学」および「共通」に分けて、選択の指針としています。なお、本章の冒頭で紹介した種々のプログラムに関連する科目は一般の学生も受講可能な場合がありますが、詳細についてはそれぞれの注意点を別途、説明します。
情報科学以外の分野の経歴をもつ人が、この分野で学習と研究を進め易いように、計算機科学と数学の基礎科目を履修して、論理的な思考能力を向上できるように準備しています。先端領域の科目には、教育連携研究室の教員や企業での開発経験者、学際領域の科目には、他大学や法律事務所の方に、授業担当をお願いしています。現実社会の問題や技術的な課題に対する認識を一層深めることをねらっています。

2.研究室配属

多くの学生が高い問題意識と研究分野の志望を持って入学してきます。そのため、入学式の前後に、 教育連携研究室を含めて各研究室の紹介をして、見学の期間を設け、学生の希望調査をもとにして、入学後2週間余りで所属する研究室を決定します。受入人数は研究室によって均等にするのではなく、学生の希望を最優先して、殆どの学生を第一希望の研究室に配属しています。
いったん配属が決まってから、自分の希望が変わったり、研究室の内容が希望に合わなかったことが判ったりしたときには、状況が許す限り研究室の変更を認めています。関心をもって自主的に修士の研究を進めていける状態を作ることが重要です。

3.ゼミナールにおける討論と発表

ゼミナール(Ⅰ・Ⅱ)では、情報科学の見識を広め、問題点を探るとともに、コミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を涵養します。ゼミナールⅠは国内外の一流の研究者や技術者から先端研究の紹介や技術の動向を伺い、質問や意見を積極的に述べる訓練をします。ゼミナールⅡでは、各自の修士論文の研究計画や研究経過を報告して、指導教員や学生のコメントを受けます。これは、学友の発表に対して質問や意見を述べて、互いに切磋琢磨する機会になります。それが、修士論文の完成度を上げる手がかりとなり、最終審査に臨む練習となります。また、学会などでの研究発表に対する自信をもたらします。

4.プロジェクト実習

プロジェクト実習では、授業では扱えなかった問題や課題について、実習や実験を行います。それによって、実際の開発における問題点を考察し、実用化における設計能力を養います。また、インターンシップとして、他研究機関や企業で、与えられたテーマの研究や開発に携わって、現場での問題解決を体験します。これらの実験や実習を通じて、授業で修得した知識の活用を学ぶとともに、新たに何を修得する必要があるかを知ります。実習の結果を報告書にまとめることにより、成果と課題を明らかにすることの重要性を認識します。

5.修士論文研究

大学院の教育は、授業を通じて多くを学ぶことと、自ら研究することが2つの柱です。後者を修士論文研究と呼ぶことにします。修士論文研究では、「研究論文」または「課題研究」のいずれかを選択します。「研究論文」では、未知の問題について研究を進め、創意を発揮して問題解決することを目指し、その成果を論文の形に総括します。解決方法における創造性、有用性、あるいは、実用性が評価されます。「課題研究」では、特定の課題あるいは研究分野の概観、技術動向の調査、製品の開発などを行い、報告書の形にまとめます。課題や解決法の体系化、将来に向けての見通しなどが評価されます。
修士論文研究では、主指導教員の指導に加えて、副指導教員など複数の教員が協力して指導に当たります。研究の任意の時点でアドバイスを求めることができますが、とくに、ゼミナールⅡにおける中間発表では、研究の進行と問題点について意見とアドバイスを受けます。

6.英語教育の充実

研究者を目指すか、企業での技術者を目指すかに関わらず、情報科学分野で国際的に活動するためには、英語能力が不可欠です。科学英語を学ぶための授業科目には、聞くことと話すことにコミュニケーション能力を養う「英語プレゼンテーション法入門」および「英語コミュニケーション法I, II」、英語による論文執筆や研究発表法を学ぶ「英語ライティング法」および「英語プレゼンテーション法」があります。さらに、「英語プロジェクトマネジメント法」、「英語論文検索法」、「英語デジタルメディア活用法」のより進んだ内容の科目もあります。
また、年2回、TOEIC英語試験を受験できる機会を設けています。いずれも各人の選択に任せていますが、英語能力の重要性を認識して積極的な履修と受験を勧めます。各自の英語能力を把握して、英語科目を受講し、能力の向上に努めることが大切です。さらに、ネットワークを介した「英語学習システム(ALC NetAcademy 2)」を利用して、実践的な英語能力の向上を図ることができます。
ゼミナールⅠでは、外国人研究者の講演をできるだけ多くして、生きた英語に接する機会を作るようにしています。
平成23年度から専門科目の一部に英語コースを設け、英語のみの講義によって前期課程の必要単位をが修得することもできます。