自然言語処理学研究室の坂井 優介助教が、情報処理学会より山下記念研究賞を受賞しました。(2025/3/14)

 山下記念研究賞は、情報処理学会の研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な論文を選び、その発表者に贈られているものです。
 今年度は38研究会の主査から推薦された計54編の優れた論文に対し、慎重な審議を行い決定されました。3月に開催された情報処理学会 第87回全国大会で表彰されました。
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  • 受賞者 Awardee:
     坂井 優介

  • 受賞研究テーマ Research theme:
    "未知の知識に対する事前学習済み言語モデルが持つ推論能力の調査"
    [2023-NL-257(2023/9/1)](自然言語処理研究会)
     事前学習済み言語モデル (PLM) は事前学習時に獲得した言語理解能力や知識によって、既知の事象に対して推論を行うことができる一方、未知の事象に対してはPLMの推論能力のみで解を導き出す必要がある。しかし言語モデルの推論能力のみを評価するには、PLMが事前学習時に記憶した知識と獲得した推論能力を完全に切り分けた分析が必要となり、既存のデータセットで測定するのは、事前学習時の記憶が作用してしまうため困難である。本研究ではPLMの推論能力の分析に、知識グラフ上の既知の関係から欠損している未知の関係を予測するタスクである知識グラフ補完 (KGC) を対象とする。KGCにおいて埋め込みに基づく従来手法は推論のみから欠損箇所を予測する一方、近年利用されているPLMを用いた手法では事前学習時に記憶したエンティティに関する知識も利用している。そのためKGCは記憶した知識の利用と推論による解決との両側面を有することから、PLMが記憶する知識の影響を測るのに適したタスクである。我々はKGCに対し知識と推論による性能向上を切り分けて測定するための評価方法及びそのためのデータ構築手法を提案する。本研究ではPLMが事前学習時にエンティティに関する知識の記憶により推論を行っている箇所を明らかにし、PLMに備わっている未知の事象に対する推論能力も同時に学習していることを示唆する結果が得られた。

  • 著者 Authors:
     坂井 優介、上垣外 英剛、林 克彦(東京大学)、渡辺 太郎

  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     このたび、非常に栄誉のある賞をいただくことができました。本研究は、博士課程で取り組んだ研究の中でも根幹となるテーマと内容だったため、受賞することができ、嬉しい限りです。 また、日頃から応援してくださってる皆様に、受賞の報告ができたこと、本当に嬉しく思います。今後もまた良い論文を出せるよう頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。

  • 外部リンク Links to:
     情報処理学会 HP: https://www.ipsj.or.jp/award/yamasita2024-detail.html#nl

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