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>>背景となる当該研究分野の国内外の現状と動向
ネットワーク分野の研究は、新しい情報サービスが提供可能な基盤技術となるブロードバンド化・ユビキタス化・情報セキュリティに関する技術開発が課題となっている。ブロードバンド化やユビキタス化については、100Mbps以上の移動体通信や無線LANが世界の最重要課題であり、また、情報セキュリティについては、我が国で実施されてきた個々の方式の提案や検証研究ではなく、e-Japan計画の推進に不可欠な実証的なアプローチをベースにした組織的な情報セキュリティ技術の研究が国際的課題となっており、インターネットセキュリティ問題の解決を支援する世界的組織であるCSIRTへの貢献が急務である。
一方、メディアコンテンツ分野の研究も、従来は、画像処理・音声処理・自然言語処理・ロボティクス等の個別的の領域で、人間が行う作業の代替や機械の自動化を目的とした研究が活発に行われてきたが、基幹技術の進歩とコンピュータの処理能力の向上によってリアルタイム処理が可能になったことから、機械と人間、あるいは機械を介した人間同士のリアルタイムインタラクションによって人間の知的活動を支援するための技術(拡張・複合現実感、マルチモーダルインターフェース、Web検索、人間共生型ロボット等)としての再構築を目指した研究が、国内外(MIT・CMU・ノースカロライナ大学・ワシントン大学・ミュンヘン工科大学・筑波大学・産業技術総合研究所・東京大学・奈良先端科学技術大学院大学等)で始まっている。
このような状況を鑑みると、e-Japan計画に貢献するネットワーク構築運用技術とメディアコンテンツ創造技術を統合するユビキタス統合メディアコンピューティングの研究は、今後、大きな国際的潮流のなることが予想される。
>>期待される研究成果
移動体通信等のネットワーク技術やゲーム等のメディアコンテンツ創造技術は、わが国に技術水準が国際的に高い学術分野である。本拠点形成計画は、このような我が国の技術水準が比較的高い2つの分野を融合し戦略研究を展開することによって、世界的に最高水準の研究教育拠点の実現を目指しており、世界に先駆けた新技術や産業の創出が期待できる。具体的には、次世代ネットワークを介していつでもどこでも人間の活動を支援する情報機器、我々のパートナーとして日常生活を支援する人間共生型ロボット(ロボットをパートナーとしてとらえる考え方は、欧米では見られないわが国独自のものである)などの研究開発において先進的な研究成果が期待される。また、我が国が比較的優位な技術分野において世界トップの成果を生み出すという学術的な意義に加え、e-Japan計画を実現する巨大な市場規模が期待できることから、知財立国を支援する本拠点形成計画の社会的な意義と研究成果の波及効果は極めて大きい。

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