研究科長からのメッセージ

現在の、そして、未来の社会が直面する課題の解決に向けて

情報科学研究科長  松本健一

奈良先端科学技術
大学院大学
情報科学研究科長
松本 健一

今日、情報科学は社会基盤の一翼を担う重要な学問分野のひとつである、とよく言われます。情報科学の教育と研究に携わる者として、ありがたい表現です。ただし、「基盤を担う」という部分だけがクローズアップされすぎると、既存のしくみや概念を大過なく粛々と守り続けることだけがその役割のように聞こえてしまい、少々残念です。情報科学には、新しい枠組みや価値観を創造し、社会に展開するという側面もあると考えます。例えば、ウェブ技術が、出版などに頼らなくても個人が広く自由に情報発信することを可能にしたのと同様に、ブロックチェーン技術は、個人やコミュニティにおける報酬や対価のやり取りを、第三者の介在なしに容易に、かつ、安全に可能にするかもしれません。また、自動車の自動運転技術やシェアリングシステムは、自家用車というこれまでのありようを過去のものとし、それに費やされてきた膨大な時間やコストを、個人はもちろん、社会全体としても別のもっと重要なことがらに振り向けることを可能にするかもしれません。

情報科学が持つこのような高いポテンシャルと広い適用分野をカバーするため、情報科学研究科には21の研究室が設置されています。特に、今年は、「サイバーレジリエンス構成学」、「情報セキュリティ工学」、「サイバネティクス・リアリティ工学」という3つの新たな研究室が設置されるなど、新たな展開が期待される年でもあります。現在の、そして、未来の社会が直面する課題の解決に向け、学生として、あるいは教員や研究員として、高い志としなやかな感性を持った皆様が集う場を作っていきたいと思います。