シンビオティックシステム研究室(日本電気株式会社)

実世界の状況や変化を高速リアルタイム(高時間分解能)かつ緻密(高解像度)に理解し、人とAIとが共生する社会を実現

教員

  • 石山 塁

    教授:石山 塁

  • 石寺 永記

    准教授:石寺 永記

E-mail r-ishiyama@nec.com
研究室のサイト https://jpn.nec.com/rd/

研究を始めるのに必要な知識・能力

  • 基本的な数学の能力(線形代数、統計解析など)
  • 基本的なプログラミング能力
  • カメラでの撮影・PCでの画像処理などコンピュータビジョンに関わる経験

研究室の指導方針

本研究室では、実社会のさまざまな現場で生じている課題解決に向けて、画像認識を主体とした各種認識技術を育成します。有用な技術を開発していくために、企業メンバーと課題解決だけでなく課題設定まで含めて定期的な議論を進めます。課題解決に際しては、認識技術開発以外の観点も広く知ることが有用であるため、学生の主体性を尊重しながら、他の研究テーマを持つ研究者との議論の場を提供するなど、視野を広げる機会もあわせて提供していきます。

この研究で身につく能力

主に画像認識・深層学習を主体とした研究に携わることになるため、近年進歩が著しい当分野に関する最新動向や具体的な活用スキル、既存手法の限界・技術課題を把握・理解することができます。また、課題解決能力だけでなく、企業のメンバーとの定期的な議論を通じ、課題設定能力やプレゼンテーション能力の獲得を期待します。

修了生の活躍の場

IT企業、電機メーカー、カメラメーカー、ソフトウェア会社など

研究内容

人と機械(AI)の共生を実現するために、特にさまざまな人やモノが行き交う実世界を、カメラなどのセンサを用いてリアルタイム・緻密に認識・理解する技術について研究・教育します。
近年、深層学習を主体とした技術革新により、特に画像認識を中心としてAIの能力は飛躍的に高まり、防犯カメラ映像のリアルタイム解析や工場での検査・ロボティクスなど、様々な用途への活用が期待されています。しかし、今のAIは、事前に大量の学習データと利用する現場に応じた多大な調整作業が必要であるため、時々刻々と変化する様々な実環境において十分適用できないなど、いまなお多くの課題が残されています。また、より高度な認識タスクを実現するためにも、よりリアルタイム・緻密なデータを取得するセンシング技術がカギとなります。
環境の変化への適応には、実世界の状況変化を今まで以上にリアルタイム・精緻にとらえることが有用です。特に多くの深層学習が対象とする空間方向主体の解析だけでなく時間方向について稠密な解析・理解ができれば、変化をより確実に捉えられ、多様な環境にも容易に適応できると期待されます。具体的には、本研究室では以下のテーマを中心に活動しますが、それ以外にも深層学習自体の改善など画像認識を主体とした認識技術全般を幅広く取り扱います。

高速ビジョン

従来、多くの画像認識研究は30fps(1秒に30枚の画像を撮影)を想定していますが、高速カメラを用いてさらに時間方向に細かく(100fps~1000fps)データを採取することで、高速に移動する物体でも移動を遮ることなく確実に追跡・状態把握することや、物体の微少な振動状態まで解析するなど、実世界をより深く理解することを目指します。このような高速カメラ活用型の認識技術により、例えばものづくりの現場で、多品種少量生産で多様なモノを扱う場合でも、製造の途中で対象を止めずそれぞれに応じた検査を行う高速検査が実現できます。

個品認証

モノの表面に存在する微細な特徴(物体指紋)をカメラで撮影・解析すること で、均一に製造された工業製品であってもそのひとつひとつを識別し、真贋を確認することも可能になります。このような微細な画像認識技術により、実世界のあらゆるモノを個品単位で識別・追跡し、真贋も認証できるようにすることを目指します。これにより、例えばものづくりの現場で生産効率や製品・部品の性能を最適化したり、モノの流通から使用に至る効率化やセキュリティを実現できます。

研究設備

深層学習の研究を円滑に遂行するためのGPUサーバ環境や、データ取得のために必要となる撮影機材(高速カメラ、照明など)

研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など

東大や理研AIPなど、さまざまな研究機関との共同研究も並行して実施しながら、基盤技術の強化をすすめています