サイバネティクス・リアリティ工学研究室の酒井ちひろさん(博士前期課程2年)らが、エンタテインメントコンピューティング2025において一般セッション優秀賞を受賞しました。(2025/8/27)
エンタテインメントコンピューティング2025(EC2025)は、一般社団法人情報処理学会(IPSJ)のエンタテインメントコンピューティング研究会(SIGEC)が主催するシンポジウムで、「新しいエンタテインメントを創造するための技術研究」や「面白さの評価・解明」、「教育・福祉・運動などへの応用研究」を目的とし、エンタテインメントコンピューティング分野の発展を牽引する研究成果の発表と議論の場となっています。2025年8月25日から27日にかけて日本大学文理学部キャンパス(東京都世田谷区)にて開催されました。 酒井さんが発表した研究「視線可視化と視覚的探索支援を実現する肢体不自由者向けロボットシステムの改良とユーザビリティ評価」は、視線によって操作可能なロボットを用いて重度の肢体不自由者が周囲の状況を把握し、視線の可視化を通じて意思や関心を他者に伝えることを可能にするものです。イベントにてロボットを実際に肢体不自由者が使用したフィールドワークによる評価方法や社会的意義が評価され、本シンポジウムで一般セッション優秀賞を獲得されました。今回の受賞を契機に、今後さらなる研究の進展と実社会への応用が期待されます。 |
- 受賞者/著者 Awardees/Authors:
酒井ちひろ(博士前期課程2年)、吉藤オリィ(株式会社オリィ研究所)、清川 清、平尾 悠太朗、 ペルスキアエルナンデス モニカ、内山 英昭
写真は、酒井ちひろさん
受賞研究テーマ Research theme:
"視線可視化と視覚的探索支援を実現する肢体不自由者向けロボットシステムの改良とユーザビリティ評価"
日本の障害者手帳所持者の約5割を占める肢体不自由者は、神経損傷や筋力低下を主因として視界が制限されたり発話が困難であったりする場合がある。これが原因で環境認識や意思疎通が制約され、肢体不自由者は介助者との指差しを利用したコミュニケーションが不可能である。この課題を解決するために筆者は肢体不自由者の視線可視化と視覚的探索支援を実現するロボットシステムを2024年に開発した。このロボットによりユーザである肢体不自由者は周囲の見たいところを見ることができ、自身の視線を可視化することで注目対象を介助者に知らせる擬似的な「指差し」が可能となる。本研究では、注目対象の明瞭化を目的とした視線可視化モジュールの変更とロボットの堅牢性向上のための外装改良、イベント展示でのユーザビリティ評価とその分析について述べる。改良後のロボットをALS啓発イベントである「世界ALSデー in Nagoya」にて展示した結果、肢体不自由者や介助者、イベント来場者からシステムの有効性を示唆する意見と改善案を得ることができた。
- 受賞者のコメント Awardee's voice
一般セッションの優秀賞を獲得することができ、大変光栄です。イベントへの招待やアドバイスを行ってくださった吉藤オリィ様、執筆や研究へのアドバイスをくださったサイバネティクス・リアリティ工学研究室の先生方に感謝申し上げます。今後さらに進展を目指していきたいと思います。
- 外部リンク Links to:
エンタテインメントコンピューティング2025 HP: https://ec2025.entcomp.org/
>> サイバネティクス・リアリティ工学研究室 Cybernetics and Reality Engineering lab