情報セキュリティ工学研究室の高野誠也さん(修了生)、近藤嵩之さん(博士前期課程2年)、阿部虹稀さん(博士前期課程2年)、西山輝さん(博士後期課程3年)が、2023年ハードウェアセキュリティ研究会若手優秀賞を受賞しました。(2023/12/15)

 ハードウエアセキュリティ研究専門委員会は、内外の研究開発動向を踏まえ、セキュリティ技術を、暗号アルゴリズム、暗号ハードウエア、ハードウエアの耐タンパー性、ハードウエアの真贋性等といったハードウエア面から俯瞰し、関連研究者が集う場を構築するとともに、ハードウエアセキュリティ分野を可視化することで次世代を担う若手研究者・学生の育成を目指すことを目的とするものです。
 
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    写真左から 鍛治助教、藤本准教授、近藤さん、西山さん、阿部さん、林教授

若手優秀賞:高野 誠也(修了生)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
     "意図的電磁照射によるスピーカーフォンからの電磁情報漏えいの脅威と対策時に求められる指標の提案"
     機器に電磁波を照射することで強制的な電磁情報漏えいを引き起こす脅威が報告されている。本稿では、リモートワークなので普及が拡大しているスピーカーフォンを対象に、強制的な情報漏えいが引き起こされる可能性を検討した。さらに、本脅威の対策手法としてEMC対策を想定し、対策適用時に必要となる情報漏えい抑制指標を提示した。
  • 著者 Authors:
     高野 誠也、林 優一
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度は栄誉ある賞を頂き大変光栄に思います。ご指導いただきました研究室の 先生方やご討論、ご協力を頂きました研究室の学生の皆様には、この場を借りて 御礼を申し上げます。

若手優秀賞:近藤 嵩之(M2)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
      "複数の変調方式を用いた意図的電磁照射により生ずる漏えい音情報の高精度な復元法に関する 検討"
     音声再生デバイスからの電磁波を通じた情報漏えいの脅威が指摘されている。この脅威に対して電磁波を機器の外部から照射することで漏えいを誘発する手法 (Echo TEMPEST) が提案されており、電磁波の照射強度に応じて反射波の放射強度が増加し、音情報を取得できる範囲が制御可能となる。一方、電磁波の照射強度の増加によって受信機に回り込む電磁波が振幅方向のノイズとなり音情報の取得性が低下することが知られている。これに対し、Echo TEMPESTで発生する反射波の振幅成分だけでなく周波数成分にも着目した信号処理によりノイズの影響が軽減され、反射波に含まれた音情報の取得性が向上する可能性がある。本稿では、Echo TEMPESTの実行時に生じる反射波を振幅復調と周波数復調し、それぞれの復調波形を用いた信号処理による音情報の高精度化手法を提案した。
  • 著者 Authors:
     近藤 嵩之、北澤 太基、鍛治 秀伍、藤本 大介、林 優一
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度は栄誉ある賞を頂き大変光栄に思います。ご指導いただきました研究室の 先生方やご討論、ご協力を頂きました研究室の学生の皆様には、この場を借りて 御礼を申し上げます。

若手優秀賞: 阿部虹稀(M2)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
      "漏えい電磁波に含まれる 符号化された情報の復元に関する基礎検討"
     電磁的情報漏えいの脅威では、主に入出力機器で取り扱われる情報を対象としており、復元した情報の一部が欠損していても、復元に成功した情報を用いて、欠損部分を補間し、知覚可能な情報の復元が可能であった。一方、脅威の対象を入出力機器以外に拡張した場合、取得対象となる情報が符号化されているケースも想定されることから、従来の電磁情報漏えいの情報取得プロセスを直ちに適用することが困難となる可能性がある。本稿では漏えい電磁波に含まれる複数の情報を用い、ターゲットとなる情報が符号化されている場合も情報を復元できることを示した。
  • 著者 Authors:
     阿部 虹稀、北澤 太基、藤本 大介、林 優一
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度は栄誉ある賞を頂き大変光栄に思います。ご指導いただきました研究室の 先生方やご討論、ご協力を頂きました研究室の学生の皆様には、この場を借りて 御礼を申し上げます。

若手優秀賞:西山輝(D3)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
      "位相同期回路へのグリッチ注入に基づく故障利用解析の基礎検討 "
     暗号モジュールのクロックの生成に位相同期回路 (PLL) が広く用いられている。PLLはフィードバックループを有することから、入力されるグリッチの影響が軽減され、故障注入が困難になる。これに対し、本稿ではPLLのフィードバックループがグリッチを完全に除去できないことに着目し、周波数を高められるようなグリッチ幅を探索することで、オーバークロックによる故障を発生させる手法を提案した。提案手法を用いた結果、PLLを用いてクロックが供給される暗号モジュールに対しても、PLLの比較動作に大きな差異が生ずるようにグリッチの幅を操作することで故障が発生し、秘密鍵を抽出可能であることを確認した。
  • 著者 Authors:
     西山 輝、藤本 大介、林 優一
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度は栄誉ある賞を頂き大変光栄に思います。ご指導いただきました研究室の 先生方やご討論、ご協力を頂きました研究室の学生の皆様には、この場を借りて 御礼を申し上げます。

>> 情報セキュリティ工学研究室 Information Security Engineering lab.