自然言語処理学研究室の出口 祥之さん(博士後期課程3年)、郷原 聖士さん(博士前期課程1年)、林 和樹さん(博士前期課程1年)、中谷 響さん(博士前期課程1年)が、NLP若手の会 (YANS) 第18回シンポジウムにおいて表彰されました。(2023/8/31)

NLP若手の会は、自然言語処理、計算言語学および関連分野の、若手研究者および技術者の学問研究および技術開発の促進をはかり、参加者の相互交流および成長の場を提供し、培われた学問研究および技術開発の成果が実社会に応用されることを奨励し、この分野の学問および産業の進歩発展に貢献することを目的として、年に1度、研究シンポジウムを開催しています。第18回シンポジウムは、2023年8月29日-31日に、浅草橋ヒューリックホール(東京都台東区)にて開催されました。
 
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奨励賞:出口 祥之(D3)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
    "knn-seq: 高速・拡張可能なkNN機械翻訳フレームワーク"
     kNN機械翻訳は、翻訳時に翻訳用例の検索を組み込むことにより、モデルを追加学習することなく翻訳精度を改善する。 我々の開発したknn-seqは、ニューラル機械翻訳(NMT)ツールキットであるfairseq上のプラグイン形式で実装されているため、他のさまざまな研究手法を容易に組み合わせることが可能である。また、さまざまな近傍探索ライブラリやアルゴリズムを切り替えられるよう設計した。 さらに、kNN機械翻訳で必要となる「翻訳前のデータストア構築」と「翻訳時の近傍探索」のどちらの処理においても高速に動作するよう設計した。
  • 著者 Authors:
     出口 祥之 (D3/NICT)、平野 颯 (D2)、星野 智紀 (修了生)、西田 悠人 (M2)、Justin Vasselli (M2)、渡辺 太郎
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     このたびは奨励賞に選出いただき大変光栄に思います。今後とも自然言語処理や機械学習の分野に貢献できるよう努めてまいります。

奨励賞:郷原 聖士(M1)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
    "ChatGPTは優れた教師になれるのか?"
     学生の理解度向上には、個人の学習レベルに適した教育が必要である。また、言語学習などの指導において、教員は各学生が知っている単語を把握しておくことが重要である。ただし、教員が全学生に対して個別指導を行うことは時間的な制約から困難である。この問題の解決策として、機械学習モデルを使用して学生の質問応答をサポートする方法が考えられる。特に大規模言語モデル(LLM)は、訓練データの作成が難しい場合でもプロンプトで適切な回答を生成することができる。そのため、LLMを活用した細かな指導の自動化が期待される。しかし、LLMが指導者の代わりに質問応答できるとして、どこまで細かい指導ができるのかは分からない。そこで本研究では、教育分野におけるLLMの活用を促進するために語彙に焦点を当てて、LLMが持つユーザの語彙を理解する能力を調査する。

  • 著者 Authors:
     郷原 聖士(M1)、上垣外 英剛、渡辺 太郎
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     まだまだ始まったばかりの研究ですが、このような賞を頂けて嬉しく思います。発表で頂いた多くのコメントを励みにして、今後も研究に尽力していきたいと思います。

奨励賞:林 和樹(M1)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
    "kNN-LMによる知識グラフを用いた大規模言語モデルにおける知識の操作"
     Chat-GPTなどに代表される大規模学習済み言語モデル(LLM)は、その汎用性と利便性により利用者が急増しています。しかし、LLMが記憶した誤った知識の変更や時間経過による知識の変化への対応が必要となっています。LLMの再学習は高コストであり、頻繁に更新を行うことは現実的ではありません。この問題を解決するため、我々は知識グラフから生成した文を用いてkNN-LMのデータストアを構築する手法を提案しました。これにより、データストア構築に利用する知識グラフの更新によって、LLM内の知識の間接的な更新が可能となります。提案手法の利点として、LLMのパラメータを変更しないため,パラメータの変更による他の知識への影響を避ける点や、既存のTransformer-Decoderモデルにも容易に適用できる点があります。  

  • 著者 Authors:
     林 和樹(M1)、出口 祥之(D3)、Xincan Feng(D1)、上垣外 英剛、林 克彦 (北大)、渡辺太郎
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度、奨励賞にご選出いただき光栄に思います。ご指導くださった先生・先輩方に心より感謝を申し上げます。より良い研究となるよう引き続き精進してまいります。

デモ賞:中谷 響(M1)

  • 受賞研究テーマ Research theme:
    "文章から地図へ:テキストジオグラウンディングシステムの開発 "
     本研究では、入力文章中の場所に関連する言語表現(場所参照表現)を抽出し、それらの経緯度や領域を地図上にマッピングするシステムを開発した。本システムの主な利点として、文章中に登場した場所参照表現を地図上で一目で視認可能となる点が挙げられる。これは、災害時の被災状況や、COVID-19の感染経路を視覚化することなどに応用可能である。本発表では、システムの詳細、および、今後の展開として、場所参照表現と地図上の位置との関係性を考慮した分散表現学習の方向性について述べた。

  • 著者 Authors:
     中谷 響(M1)、寺西 裕紀、東山 翔平、大内 啓樹、渡辺 太郎
  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     この度はデモ賞に選出していただき、大変光栄に思います。受賞は私の目標の一つであり、これを達成できたことを非常に嬉しく思っています。発表時に頂いたコメントを参考に、今後の研究により一層力を注ぎます!

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