情報科学研究科ではFDの取り組みとして、平成10年度より学生による授業評価アンケートを実施している。当初の授業評価アンケートの実施目的は、担当教員へ授業をよりよくするための参考として学生の意見をフィードバックすることと、その年度におけるベストティーチング賞の選考基準の一つとすることであった。授業評価アンケートはその後、現在まで継続して実施されているが、その間、任意参加から全教科実施へかわり、また実施方法も紙媒体のみ、紙媒体とWebを利用したオンラインの併用、Webのみでの実施など、学生のアンケート回答への負担を減らしつつ如何に学生の意見を正確に聞き取るかを試行錯誤しながら継続している。現在のアンケートの内容は平成16年度から同じにしてあり、年度毎の評価結果を比較できるようになっている。また、学生の授業評価の結果を受けて、教員がどのように改善しているのかを把握するために、平成16年度より教員へのアンケートも実施している。このような取り組みの中で、学生に対してより良い教育を行うために、各教員が講義を行うにあたり様々な取り組みを始めている。
平成16年度に当時の鳥居宏次学長の下、全学の方針として、若手教員を中心に学外にてFD研修を実施すること、および、研究科ごとに当該研究分野における学識経験者にFD学外委員をお願いすることとなった。情報科学研究科では、伊藤実教授、河野恭之助教授、山下茂助教授がカリフォルニア州立大学フルトン校 (California State University Fullerton) でのFD研修に参加した。また、谷口健一先生(当時大阪大学大学院情報科学研究科教授、現在同名誉教授)にFD学外委員をお引き受け頂き、授業参観をして頂いた。平成17年3月、全学のFD研修会が開催され、本研究科については、谷口先生から授業参観報告と授業改善への提言を頂き、海外FD研修を受けた教員3名からの報告も行われた。
平成17年度には文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブに本研究科の教育プログラム「未来を切り拓く情報科学人材育成コア」が採択となった。これを機に、谷口先生に加えて、同志社大学文化情報学部教授、京都大学名誉教授の片山徹先生にもFD学外委員をお引き受け頂いた。また、海外FD研修は16年度と同様カリフォルニア州立大学フルトン校にて行われ、黒川顕助教授と松本吉央助教授が参加した。平成18年3月、情報科学研究科にてFD研修会を開催し、谷口先生、片山先生からの授業参観報告と授業改善への提言を頂いた。また、FD海外研修教員2名の報告と本研究科FDの取り組みの報告を行った後、ディスカッションを行った。
平成18年度は全学の方針で海外FD研修先を北カロライナ大学シャーロット校 (The University of North Carolina at Charlotte) に変更し、本研究科からは中島康彦教授と平田健太郎助教授が参加した。谷口先生と片山先生には年間を通じて授業参観をして頂いた。谷口先生には助教授の希望者に対して授業参観に基づく個別指導もして頂いた。平成19年1月には、情報科学研究科にてFD研修会を発展させたFDシンポジウムを開催した。シンポジウムに先立ち、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校 (University of Wisconsin-Milwaukee) 教授の鈴木一郎先生をお招きし、大学院教育の問題点について調査検討して頂くとともに、本研究科の授業参観とご講演をお願いした。シンポジウム当日は鈴木先生の他、FD学外委員の片山先生、谷口先生のご講演、海外FD研修報告、学生からの提言、研究科のFDの取り組みについての報告が行われ、最後にディスカッションを行った。なお、本研究科専任教員の聴講者数は、教授15名(24名)、助教授17名(22名)、助手31名(43名)で、他に磯貝 彰 副学長、客員教授1名が出席した。ただし( )内は総数で、特任助教授を含み休職者、長期海外出張者を含まない。
本WWWページは、平成18年3月FD研修会および平成19年1月FDシンポジウムの講演内容を、講演者の方々にお許しを頂き、まとめたものである。谷口先生は2回分の講演資料を一つにまとめて下さったので、平成19年1月分に掲載させて頂く。本報告が研
究科の教育改善の一助となれば幸いである。最後に、ご多忙にも係らず、授業参観並びに講演をして下さった、片山徹先生、谷口健一先生、鈴木一郎先生に心から感謝致します。
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