情報科学領域長からの
メッセージ
社会に浸透する情報科学
Society 5.0は、日本が提唱する、情報技術を活用して人々の暮らしや社会の課題を解決する社会を目指すコンセプトであり、第6期科学技術・イノベーション基本計画においてその実現に向けた具体化が目指されています。Society5.0では、現実空間に存在するモノから取得したデジタル情報をサイバー空間に持ち込み、人工知能(AI)により、人が処理するよりはるかに速いスピードでデータを分析し、分析結果とした得られた知恵を現実世界にフィードバックすることで、経済や社会、環境、さらには人の生活や健康状態までも改善していくことを可能にします。Society5.0の実現には、このような継続的な改善ループを持つ“サイバーフィジカルシステム”をあらゆる分野・場所に浸透させ、地球上のあらゆる活動が情報技術の力で自動的に改善されていくようにすることが望まれます。
1991年10月に設置された奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科(2018年から、情報科学領域)は、アルゴリズム、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークと言った基盤技術と画像、音声、言語などのメディア処理技術からスタートし、30年以上にわたり、それぞれの技術を深化させる研究と情報科学のフロンティアを拡大させる研究を続けて来ました。現在では、Society5.0の実現に資する、IoT、ビッグデータ、AIと関連分野において世界トップクラスの研究成果を挙げ続けています。
近年、世界のデジタル化の加速、エネルギー問題、地球温暖化による気候変動、高齢化問題など、人類を取り巻く様々な問題の解決のために、Society5.0の実現は喫緊の課題となっています。その一端を担う最先端研究と、それを未来にわたって継続するための人材育成が、私たち情報科学領域の使命だと考えています。 自由な発想で情報科学の可能性をさらに広げるには、研究の担い手の多様性も重要です。情報科学領域は、多様な人材が集い、新しい価値を創造し、持続可能で豊かで平和な社会に貢献する場になることを目指します。
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学領域長
安本 慶一