情報科学領域長からの
メッセージ

AI、そしてAIの次の情報科学

情報技術は私たちの生活に広く深く浸透し、情報技術なしでは社会生活が成り立たない世の中になったと言っても過言ではありません。情報科学技術に対する国の方針を示す内閣府の第6期科学技術・イノベーション基本計画(2021-2025年度)では、Society 5.0 社会の実現に向けて、サイバー空間とフィジカル空間の融合に向けた情報科学技術の研究開発やスマートシティ・スーパーシティの展開等の政策が多く立案・実施されています。

現在は2026年度から始まる第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定が進行中ですが、日本学術会議が2024年11月に公表した提言では、大規模感染症や気候変動、少子高齢化、生成AIの発展に対応する包摂的な科学技術・イノベーション制度実現の目標の下、生成AIの先も見越したAI研究における競争力の確保と、AIを安心・安全に社会実装できる仕組み作りが挙げられています。近年の生成AIに代表されるAI技術の発展と普及は著しく、それとともに、AIの先端基盤技術や応用技術、さらにはAIリテラシーの普及など、AI技術に対する社会的ニーズがかつてない高まりを見せています。

情報科学領域ではこのようなニーズに応えるべくAI分野の教育研究を強化するため、2024年9月に従来のコンピュータ科学・メディア情報学・システム情報学の3分野を廃して新たにAI基盤情報学とAI応用情報学の二つの学問分野を設置しました。AI基盤情報学では次世代AIの高性能化・高機能化・高効率化に向けた計算機アーキテクチャやシステム構成法、ネットワーキング技術、ソフトウェア開発、サイバーセキュリティといった基盤技術を、AI応用情報学では機械翻訳・音声認識・画像認識技術、医療・ヘルスケアや脳情報処理・ロボット・自律走行車、さらにはバイオインフォマティクスといった幅広い応用技術について先進的な教育研究活動を推進していきます。

また、本学では2025年度からの新入生を対象に高度情報専門人材育成コースを設置し、情報科学区分の博士前期課程の定員を135名から175名程度、博士後期課程は40名から45名程度増員致しました。この増員により、AIのみならず次世代の情報科学技術の発展・普及を担う高度情報専門人材の育成を担っていく予定です。

情報科学は20世紀半ばに立ち上がった歴史の浅い学問分野ですが、理論の深化と応用の広がり、社会実装に至るまでの発展が目覚ましく、5年後の情報社会を予測することさえ難しいダイナミックな学問分野です。情報科学領域は最先端の情報科学技術の創造と次世代の情報化社会を担う教育研究を推進して参ります。

領域長

情報科学領域長

笠原 正治