概要: |
脳信号から利用者の意図を解読し、さまざまな機器を操作するブレイン・マシン・インタフェース(BMI)はこれまで主に実験室で研究が進められてきたが、ATRでは一般住宅などの日常環境で生活支援を行うためのBMIの開発をめざし、4つの研究機関と共同で2011年より総務省委託研究
「ネットワーク型 BMI プロジェクト」を実施してきた。家電や住宅設備が計算機サーバから制御できる実環境実験設備(BMIハウス)を構築し、BMI 利用者の脳活動計測のための無線式携帯型装置の開発、実環境ノイズへの対策、安定した脳情報解読法の構築などの課題に取り組んでいる。脳波 (EEG) 信号は被験者の課題への没入度、疲労、学習効果などに起因する脳活動の変化により非定常に変動 することが知られている。したがって、日常生活中にBMIを安定して利用できるようにするためには、この EEG 時系列の非定常性を緩和する統計手法が特に重要である。本発表では、まず「ネットワーク型 BMIプロジェクト」の成果を紹介し、そこで用いられた運動想像課題中の携帯型EEG (g.tec MOBIlab+ 8 チャンネル) の15 日分のデータに見られる非定常性について説明する。さらに、現在標準となっている Common Spatial Pattern (CSP)という特徴量構築法をロバスと化する手法について、ベルリン工科大学の BCI グループとの共同研究(Kawanabe et al., 2014, Samek et al., 2014)を中心にいくつかの機械学習法について概説する。
|