ゼミナールI講演 |
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日時: | 平成26年6月2日(月)3限 (13:30 -- 15:00) Mon., Jun. 2nd, 2014 (3rd Period, 13:30 -- 15:00) |
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場所: | L1 |
講演者: | 入来篤史 (理化学研究所 脳科学総合研究センター) Atsushi Iriki (RIKEN Brain Science Institute) |
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題目: | 人間知性進化の認知神経生物学的メカニズム |
概要: | 人類進化は、道具の製造および使用や言語機能の獲得などを含む、新たな高次認知能力の継続的な逐次付加過程の繰り返しであった。新しい脳領域の出現を伴う脳の劇的な拡大が、このような連続的な進化の基盤となってきたものと考えられる。拡張された脳機能による人間活動は、我々人類の生態的ニッチに迅速で劇的な変化を引き起こし(環境ニッチ構築)、そのあらたな適応するための情報処理負荷は、さらなる脳のリソースを要求し必要な脳部位が膨らんで新たな脳領域を創り出す(神経ニッチ構築)。そしてこの新たな脳領域は、新たなより高次の認知機能を創出し(認知ニッチ構築)、この新たな知的脳機能の働きによってさらなる環境の改変がひきおこされる。人類は、このような三種類のニッチ構築の円環的プロセス(三位一体ニッチ構築)を通じて劇的な進化を演じ、現在の地球上に独自の文明環境を築き上げてきたものと考えられる。ヒトの出現以前の『自然選択』のみによる進化過程から、霊長類祖先の『ニッチ構築』、そして人類祖先の『三つ巴ニッチ構築』と移行して、現代の知的文明環境が出現する過程には、ヒト認知的脳機能の基本的な生物学的特性が大きく寄与したものと考察される。 |