非ホロノミックシステムとは拘束条件が速度や加速度のような一般化座標の微分を含む方程式で表され,それを解析的に積分することができない拘束を持つシステムである。 このような非ホロノミックシステムの代表例として非駆動関節マニピュレーターや車両系などが知られている.非ホロノミックシステムは線形近似したシステムは不可制御であり,Brockettにより,時不変の連続な状態フィードバックではシステムを安定化できないことが示されており,制御が困難なシステムである.また複雑な拘束条件を持つシステムに対し,ハミルトン関数の設計が容易ではない.
このような非ホロノミックシステムの中には一般化ハミルトニアンシステムで表現できる物理システムが数多く存在することがわかっている. 今回の発表では、まずそれらの非ホロノミックシステムに対して一般化ハミルトニアンが有する性質(ハミルトニアンの受動性や正定性)を利用して 漸近安定化させる安定化手法について概説する。 微分不可能なハミルトン関数を用いた連続フィードバックでは, 漸近安定にはなるが,指数安定性を得るには到ることができない. 本研究で提案した関数、つまり複数のハミルトン関数を切り替えることによって微分不可能なハミルトン関数を構成する手法を述べ、有効性を解説する。 そして滑らずに転がるコインのシステムに対し,提案した手法を用いたフィードバック制御系が局所的指数安定になることをシミュレーションにより示す.