音楽音響信号を対象とした和音名同定手法に関する研究

山田 洋子 (0151116)


計算機による音響信号理解に関する研究の多くは, 音声のみ, または音声と特定の環境音を念頭に置いており, 非定常かつ複雑な音楽への適用は困難であった. そこで, 音楽音響信号を対象とする音楽情報処理の研究が 行われるようになってきた. 本研究では, 自動採譜, 楽曲類似検索にも応用可能な重要な技術である 和音を認識する技術(和音名同定)に着目し, その手法を提案する. 和音名は, その構成音の組合せで決定されるため, 従来研究の多くが構成音の音高を推定することで和音名を同定していた. しかし, 和音の構成音の推定が困難である複雑な混合音には適用出来ない という問題点があった. また, 構成音の推定を行わない手法では, 事前に対象とする音域の学習データが必要となるため, 未学習音域の和音へは適用できないという問題点もあった. 本論文では, 和音の構成音の推定が不要なため複雑な 混合音へ適用でき, 未学習の音域にも適用できる手法を提案する.

本手法は, 12音名に対応する12次元の特徴ベクトルを 用いることで, 構成音を推定することなく和音名を同定する. また, この特徴ベクトルを使用することで未学習の音域の和音についても 同定出来ることにより, 本手法は従来研究の問題点を解決している. 更に, 本手法を実際の楽曲中に現れる和音に対し適用できるように 拡張し, ポピュラー音楽中に現れる和音について同定実験を行った. その結果, 最大で65.63%の同定率が得られた. これにより, 実楽曲中に現れる和音の同定が可能となった.

本発表では, 本手法の原理である
・12次元特徴ベクトル
・k-NN法を用いた和音名の分類
・学習データ生成処理
について説明する. また,
・12次元特徴ベクトルの有効性の評価
・学習データ生成処理の有効性の評価
・実楽曲中の和音に対する評価
の3点についての評価実験結果と, 今後の課題を示す.

<--あとは、自由に HTML でつくってもらって結構です。なお、全体の分量として は、このページをプリントアウトした時に、A4 一枚程度になるようにしてく ださい。

--->