SCTPにおける実時間通信むけプライマリパス選択手法の提案と評価

西山 尚志 (0151079)


近年,インターネットの普及とブロードバンド化に伴い, 映像や音声を転送する実時間通信が増加している. 実時間通信を行う上で問題となるのは 経路に障害が発生した場合,帯域の減少や遅延,パケットロスの増大が発生し, 実時間性が損なわれることである. その対策として,代替経路をもち障害発生時には転送を切り替えることが可能な マルチホームは有効といえる. 本研究では実時間通信時に,マルチホームを実現可能にする技術として SCTP(Stream Control Transmission Protocol)に注目する. SCTPでは転送を行うパスをプライマリパスと呼ぶ. このプライマリパスは,ネットワークの状況を考慮せず決定され,変更もできない. さらに,複数の経路を用いるため,経路の切り替え基準や切り替え時間も問題となる. そこで,本研究ではこれらの問題点とその影響を明らかにし, SCTPにおける実時間通信の実時間性向上を目的とした プライマリパス選択手法を提案をする. 提案手法では,拡張させたHEARTBEAT機能を用いネットワークの計測を行い, その結果からプライマリパス選択を行う. 提案手法の有効性を調べるために行ったシミュレーションの結果を示し, 数値およびグラフから評価と考察をおこなう.