近年,インターネットの利用が拡大し様々なオンラインサービスが展開されおり, 多くのインターネットサービスプロバイダー (ISP) がインターネット 接続サービスを展開している.インターネットの普及に伴い,インターネット サービス市場に関して工学,経済学の両分野で活発な研究が行われてきた. 過去にGibbensらはゲーム理論を用いてISPの競争市場をモデル化し, 複数サービスクラス導入の是非を検証したが,そこでは様々な制約があった. Gibbensのモデルでは, ISPが操作できるのは価格のみだったが,実際には回線容量も変更することが 可能である. そこで本研究では,価格に応じて回線容量を変更できるようモデルを拡張した. 価格とリソースの関係を導入したモデルでは,価格に対してリソース の増加率が多いほど輻輳の影響が減少し,価格競争が激化して低価格化の発生 および,それに伴う利益減少が生じることが判明した. 次にGibbensのモデルでは,ユーザが必ずISPと契約 しなければならないという制約があった. そこで本研究ではGibbensのモデルを拡張し, ユーザがISPのサービスに満足できない場合はユーザがどちらのISPにも 加入しないことを可能にした. 均衡解析およびシミュレーションの結果,opt-outを選択するユーザの存在は, 市場のユーザ数,ISPのリソース,ユーザがインターネット利用により得る利益 に依存することが判明した.