近年、マルチホームを用いたインターネット接続の利用が増えている。 マルチホームに対応したホストは所属するネットワークが異なる複数のIPアドレスを持つ。 これにより公衆インターネットへの接続に冗長性が生まれる。 その結果、公衆インターネットへの接続に障害が発生した際に代替経路を用いて通信を継続することができ、耐故障性の向上を図ることができる。
一方、マルチホームを実現する方法としてSCTP‾(Stream Control Transmisson Protocol)と呼ばれる次世代のトランスポートプロトコルが注目を集めている。 ところが、SCTPには送信側の経路が切り替えられないために冗長性が生かされなくなる問題がある。 これは単一点障害と呼ばれており、数多くの研究者が指摘している。
本研究ではこのSCTPにおける単一点障害の回避を目標とする。 そのために送信元アドレスと宛先アドレスの組み合わせであるパスを用いた経路識別手法を提案する。 経路の識別に送信元アドレスを加えることにより、送信側の経路を切り替えることが可能となる。 また、提案手法を実装し、実験によってその有効性を検証する。