差異の可視化による相互理解の支援に関する研究

大平 雅雄 (9851017)


本発表ではミーティングなどにおける意思決定や問題解決といった協調作業をより効果的に行なうために,参加者の言葉や画像に対するイメージの差異を可視化することによりミーティング参加者間の相互理解を支援するアプローチについて述べる.本研究での相互理解とは情報をより正しく伝達するために必要となる知識を共有することである.相互理解を支援するためにミーティング参加者間のコミュニケーションにおけるブレークダウンの重要性に着目した.言葉や画像に対するイメージの差異を可視化することによりブレークダウンを意図的に生じさせ,このブレークダウンをトリガーとして参加者間のコミュニケーションを促し相互理解を促進させることを目指した.このアプローチに基づき,相互理解の支援のためのモデル及びシステムの可視化モデルの構築を行った.これらのモデルに基づき構築されたプロトタイプシステム EVIDII(an Environment for Visualizing Individual DIfferences ofImpressions) システムは,ミーティング参加者の言葉や画像に対するイメージを二次元空間上にマッピングし,個々人のイメージの違いを即座に見てとれるように可視化するシステムである.システムの利用観察実験から差異の可視化というアプローチがミーティング参加者の相互理解を徐々に構築していく様子が観察された.