ひずみに対するマスキング効果を利用した電子透かし画像の高品位化
高橋 学 (9751063)
マスキング効果を利用した高品位電子透かし重畳手法と
画質の客観評価尺度を提案する.
本発表では, まず, 電子透かしの画質と耐性がトレード
オフ関係にあることを D C Tによる透かし方式を例に示
す. D C Tによる透かし方式は,透かし情報によって決ま
る乱数系列を原画像の D C T係数に重畳する透かし方式
である.
次に、提案する電子透かし重畳手法について説明する.
この手法は,透かし重畳処理としてDCTによる透かし方式
をベースに使い, これと独立したマスキング処理の組み
合わせで構成されている. マスキング処理は, 透かしの
耐性を維持しつつ透かし画像の高品位化を実現するため
に輝度変化と同方向の輝度変化重畳は視覚感度が低いと
いう視覚特性(マスキング効果)を利用し, 透かし重畳に
よる知覚的な画質劣化(ひずみ)を抑圧する. その際, G
a b o r フィルタを使って原画像の方向に依存した輝度
変化を抽出し, 一方で G a b o rフィルタによって, ひ
ずみを対応する方向成分に分解し, 方向成分ごとに抑圧
を行う.
以上の過程を直観的に説明する.
また, 人間の視覚特性を考慮した画質の客観評価尺度 M
P S N Rについて提案を行い, 従来の P S N Rとの比較
実験を通して, 人間の主観画質 ( M O S )と相関が高い
ことを説明する.
最後に M P S N Rを使って, 本手法と従来手法の画質評
価実験を行った結果をもとに, 本手法のマスキング処理
が, 耐性を維持しつつ電子透かし画像の高品位化に有効
であることを説明する.