2007.10.17-24 イタリア、リヴァ・デル・ガルダ
Networking and Electronic Commerce Research Conference 2007 (NAEC 2007)
応用システム科学講座: 博士前期課程2年
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【発表内容】
「Effective Message Routing in Large-Scale Peer-to-Peer Networks for Ubiquitous Computing Environments」という演題で発表を行ないました。内容は多様な機器が接続するユビキタスコンピューティング環境を想定した効率的な大規模P2Pネットワーク技術に関してです。

【会議の内容】

NAECは米国、ヨーロッパ、アジア、アフリカと世界中の研究者が参加し、有線・無線通信技術や情報技術を根拠としたビジネスモデルなど幅広い分野に関する議論がされる国際会議です。 私が興味を引かれた発表は、オプション(金融派生商品の一種で一定の日又は期間において一定のレート又は価格で取引する権利)取引理論であるブラック・ショールズモデルを無線の周波数割当てに適応した研究です。他の研究分野で確立された技術や理論を自らの研究分野に適応することにより,新たな技術を生み出すことも可能なのだと感銘を受けました。

【研究技術交流等】
質疑応答では研究者の方々から鋭い質問や今後の研究に参考となる意見を頂けました。
発表セッションの終了後、食事をともにし、米国の研究者からはインターネット技術の動向について、地元ヨーロッパの研究者からはヨーロッパの携帯電話端末についての情報を教えて頂けました。また、私からは日本のP2Pネットワークの研究に間するトレンドについて情報提供することが出来ました。最後にこのような良い経験をさせて頂きました大学院教育改革支援プログラムに感謝いたします。



2008.3.25-30 イタリア、トレント
10th IEEE International Workshop on Advanced Motion Control
応用システム科学講座: 博士前期課程1年
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【発表内容】
ビジュアルフィードバック制御においては、カメラ光軸と計測平面の法線ベクトルとの ずれによる画像の歪みが大きな問題となる場合がある。そこで本発表では、倒立振子系のWeb Cameraによるビジュアルフィードバック制御を例にとり、上記の歪みに対するロバストな制御系設計を考える。具体的には、 画像の歪みを状態空間モデルに対するアファイン摂動として表現できることを示し、関連するBMIを解くことによってロバストな出力フィードバックコントローラを設計する。さらに、提案手法の有用性を実機実験により検証する。

【会議の内容】

モーションコントロールに関する会議であり、発表内容は、ロボティクスやパワーアシストにおける制御技術、また、 モーションコントロールのためのセンシングや画像処理技術など多岐にわたる。その中でも、香川大学の高橋悟先生が「Motion Tracking of Crane Hook based on Optical Flow and Orientation Code Matching」と題して発表された、 振れ動くクレーンフックの3次元座標をオプティカルフローを利用して一台のカメラのみで計測するという研究は、 実際のクレーンを用いた大規模な実験を行っていたこともあり、特に印象に残った。

【研究技術交流等】
会議全体を通して、他大学の先生方や企業の方々と話す機会が多くあった。特に詳しく話を聞かせて頂いたのは、株式会社Nikonの技術系社員の方で、液晶露光装置において用いられている制御手法を聞くことができ、非常に興味が湧いた。

2008.9.6-12 イタリア、ミラノ
The Fourth International Conference on Open Source Systems 2008
ソフトウェア工学講座:博士後期課程2年
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【発表内容】
 オープンソースソフトウェア(OSS) 開発は一般的に、地理的に分散した環境下で非対面のコミュニケーション手段(メーリングリストや掲示板など)を用いておこなわれるため、コーディネーション(合意形成や分担作業の調整)がOSS コミュニティの成功にとって重要な要件となる。本研究では、Apache コミュニティを対象として開発者とユーザとの間で形成されるインフォーマルな社会構造についての分析をおこなった。開発者用のメーリングリストとユーザ用のメーリングリストから抽出したデータを用いてFreeman が提案する3 つの中心性の一つである媒介中心性を求め分析をおこなった結果、(1) 高い媒介中心性の値を示す参加者が開発者とユーザとの間の活動を調整していること、(2)数人の参加者は長期間にわたってApache コミュニティにおけるコーディネータとして機能していることがわかったことを発表した。

【会議の内容】

 OSS2008はオープンソースソフトウェア開発の会議で、会議発表中はSyracuse大学のKevin Crowston博士他、数名の研究者から質問・コメントを頂き、活発な質疑を交わすことができた。また会議の休み時間にも研究者と議論することで、研究に対する知識が深まるだけでなく、海外にもオープンソースソフトウェア開発の研究者の知人ができた。
 特に優れたと思う発表の1つは、Soweらの"Reflection on Knowledge Sharing in F/OSS Projects"であった。開発者とユーザそれぞれのメールの送受信関係を分析することで、F/OSSプロジェクトの知識共有の過程を理解しようとしており、興味深かった。