2008.12.8-14 メキシコ
47th IEEE Conference on Decision and Control (CDC'08)
システム制御・管理講座:博士後期課程1年
Report_20

【発表内容】
「Control formula for nonlinear systems subject to convex input constraints using control Lyapunov functions」

【会議の内容】
本会議は,制御理論分野における最も重要な国際会議であり,基礎的な制御理論から応用分野に至るまで,幅広いテーマの研究発表が行われていた.
今回は,特に非線形システムに関するセッションが多く設けられており,非線形制御への関心が高まっていることを感じた.その中でも,次の2件の発表が大変興味深かった.

「 Uniting two control Lyapunov functions for affine systems」
(Vincent Andrieu and Christophe Prieur, TuB01.2)
本論文は,2つの制御Lyapunov関数(CLF)を結合させる問題を扱っている.
この問題は,制御則の大域的安定性と局所的な性能を両立させるために重要であり,本論文ではそのための十分条件が示されている.具体的にどのようにCLFを結合するのかについては今後の課題であるが,理論・応用の両面から興味深いテーマである.

「Robust constraint satisfacation for continuous-time nonlinear systems」
(Mathias Burger and Martin Guay, TuA01.2)
本論文は,状態制約と未知パラメータを含む非線形システムに対して,状態制約を満たしつつシステムを漸近安定化するような制御則設計法を提案している.
具体的には,座標変換を用いて状態拘束を扱いやすい形に変換し,その後バックステッピングに似た再帰的な設計法を用いて制御入力を設計している.
適用できるシステムのクラスは限られるが,とても使いやすい制御則だと思った.


【研究技術交流等】

研究発表に関しては,今後の研究の進め方に関して非常に参考になる意見を聞けた点が良かった.
また,多くの著名な研究者の講演を聞けたことも,今後の研究の刺激になった.
最後に,このような貴重な機会を与えていただいた大学院教育改革支援プログラムに感謝します.


2009.1.31-2.8 メキシコ、カンクン
The Third International Conference on Quantum, Nano and Micro Technologies (ICQNM2009)
コンピューティングアーキテクチャ講座:博士前期課程2年
Report20_1

【発表内容】
"An Efficient Method to Convert Arbitrary Quantum Circuits to An Linear Nearest Neighbor Architecture"
これまで多くの種類の量子回路が作られてきが、それらの回路のほとんどは回路中の任意の量子ビット同士がインタラクションできることを前提としていた。しかし、量子コンピュータの物理的研究が進むにつれ、量子ビットを直線状に並べ、近接したビット同士でしかインタラクションできない、Linear Nearest Neighbor(LNN) アーキテクチャという枠組みの中でないと量子コンピュータが実現できないと認識されてきた。そのため、LNNアーキテクチャ上で量子回路を設計することが必要となり、いつかの特定の回路はLNNアーキテクチャ上ですでに設計されている。しかしながら、任意の量子回路を効率的にLNNアーキテクチャへ変換する手法はまだ確立されていない。そこで、本研究は任意の量子回路に対する効率的な変換手法を提案する。量子回路をLNNアーキテクチャに変換する際、加えられる回路の大きさと変換時間を減らすことが重要となってくる。提案手法は他のナイーブな手法に比べ少ない追加回路規模と変換時間を達成している。また、この手法を開発するために必要となった重要な2つの定理を証明する。さらに、提案手法を適用した量子回路はいくつかのLNNアーキテクチャ専用に設計された量子回路に比べ、少ない追加回路規模を達成した。


【会議の内容】
今回参加したICQNM2009は、量子計算など量子コンピュータをとりまく技術に関する学会です。発表内容は量子計算や量子通信の理論的なものから、実際の物理デバイスの実現方法などまで、多岐にわたり非常に興味深かった。その中でも特に興味をもった発表は、Stefan Rassらの"Game-Theoretics Security Analysis of Quantum Networks"です。これはネットワーク上で量子暗号用いた2者間通信の安全性をゲーム理論を使って解析した研究でした。量子ネットワークの安全性をゲーム理論という違った方面からのアプローチによって解析している点が非常に興味深かった。


【研究技術交流等】

私の発表内容について興味を持ってくださった方がいて、セッションが終わった後にその方と話をすることができた。発表内容についての質問やアドバイスなど、違った視点からの指摘を受けることができ非常に有意義な意見交換を行うことができた。また、日本の文化などについての話もすることで、技術交流と同時に文化交流もすることができた。