2008.2.11-15 オーストリア、インスブルック
The IASTED International Conference on Software Engineering
ソフトウェア工学講座:博士前期過程2年
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【発表内容】
"A Scalable Sensor Application Framework Based on Hierarchical Load-Balancing Architecture; 階層化と負荷分散アーキテクチャ を用いたスケーラブルなセンサアプリケーションフレームワーク"

近年のセンサ機器の発達により、センサの状態を監視し、センサの値があらかじ め指定した条件に一致したときに何らかの処理を行うという、センサ駆動サービ スが普及しつつある。しかし、利用するセンサの個数が増加すると、多数のセン サを同時に扱うアプリケーションが複雑になったり、センサから取得されるデー タが膨大になりネットワークやアプリケーションの負荷が増大するといった問題 点がある。これらの問題を解決するスケーラビリティの高いセンサ駆動のアプリ ケーションフレームワークを提案した。
提案フレームワークでは、センサにサービスレイヤを持たせ、そこでセンサ固 有の情報、処理をすべて行わせることで、アプリケーションの複雑さの問題を解 決した。また、Publish/Subscribe型のメッセージ交換パターンを用いることで 通信やアプリケーションの負荷を軽減させることができた。また、提案フレーム ワークをシーケンス図を用いた定量的な評価について説明した。 これらの提案内容に加え、提案フレームワークの特長や限界、利用例、ケースス タディなどについて発表した。


【会議の内容】

Andreaらの「グリッドベースアプリケーションのパフォーマンス管理のためのモ デル駆動アプローチ(A MODEL-DRIVEN APPROACH FOR THE PERFORMANCE MANAGEMENT OF GRID-BASED APPLICATIONS)」という論文に興味を持った。 この論文では、グリッドサービスをベースとしてアプリケーションのパフォーマ ンスの特徴を設計時に予測し、実行時に管理するというモデル駆動アプローチを 用いている。このアプローチはUML型のデザインモデルからパフォーマンスモデ ルを自動生成・評価することがベースとなっている。 本論文で提案している手法と、私が提案しているフレームワークにおいてグリッ ドを用いてセンサを配置した場合、本論文の手法が有効に利用できる可能性がある。

【研究技術交流】
会議におけるバンケットにて,海外の研究者と交流を行った。 特に、現地オーストリアの研究者と会話し、お互いの研究内容について紹介し、 意見交換を行った。その際、お互いの研究分野が少し違っていたため。それらの 研究分野の融合について検討し、意見交換や討論を行った。

2008.3.15-21 オーストリア、インスブルック
IASTED-HCI 2008
ソフトウェア工学講座:博士前期課程2年
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【発表内容】
様々な家電製品をネットワークに接続し、付加価値サービスを提供するホーム ネットワークシステム(HNS) が注目されている。現在、いくつかの製品やサービ スが製品化されており、今後さらに多くの新たな機器や高度なサービスが提供さ れると考えられる。HNS では多様な機器が偏在的に存在するため、音声制御 や視線制御といった従来のリモコンに代わる新たなユーザインタフェースの実用 化が期待されている。しかし、音声認識を用いた操作では、操作対象機器の種類 が増えると認識率が低下する問題がある。一方、視線では複雑な操作が出来ない という限界がある。そこで、本論文では、音声認識と視線情報を組み合わせた、 新たなHNS 家電機器操作インタフェースを提案する。提案手法では、ユーザが 操作したい機器を注視することで操作対象の機器を選択し、操作コマンドを発話 することで操作を行う。音声認識の認識精度を向上するため、視線で選択した家 電に最適な音声認識モデルを動的に再構築する手法を採用している。これにより、 音声認識のみの操作方式と比べ、より複雑な操作を正確に行うことができる。ま た本論文では、提案手法に基づいてシステムの実装を行い、評価実験を行った。 実験により、視線と音声を組み合わせた提案方式は、音声のみの操作方式に比べ て約20% 音声認識率が向上していること、また、雑音環境においても性能劣化 が少ないことがわかった。

【会議の内容】
私が参加した会議のテーマはヒューマンコンピュータインタラクションであり、コミュニケーションツールや操作インタフェース等の研究発表が多く行われた。 発表の中で興味を持った発表は以下である。この研究においては、回転する椅子同士をネットワークによって接続させ、片方の椅子の回転量をもう片方の椅子に伝えるシステムを構築していた。新たなコミュニケーション促進のためのシステムとして提案されており、電話をしながらこの椅子に双方が座って回転を楽しむことが可能であるものであった。
"Lazy Susan" Chair Communication System for Remote Whole-Body Interaction and Connectedness S. Wesugi and Y. Miwa (Japan)

2010.2.15-20 オーストリア、インスブルック
The Ninth IASTED International Conference on Parallel and Distributed Computing and Networks (PDCN 2010)
コンピューティング・アーキテクチャ講座:博士後期課程1年
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【発表内容】
「An Energy Efficient SMT Processor with Heterogeneous Instruction Set Architectures」と題した口頭発表.
近年,コンピュータシステム全体での省エネルギー化を実現するために高性能だけでなく低消費電力プロセッサが組み込み機器では求められている.
そこで,我々は従来2つの異なるプロセッサを1つに結合し,マルチコアよりもエネルギー効率の優れたプロセッサを実現するために異種命令混在実行OROCHIを提案した.
しかし,一つ一方の処理を優先的に実行するときに,他方の非優先処理が優先処理を中断してしまう場合がある.
そこで,本発表では,優先処理のQuality of Service(QoS:性能保障)を維持するために,Selective Flush Mechanismを提案する.
この仕組みは,非優先処理が優先処理を中断してしまうときに,パイプラインステージから非優先処理の命令をフラッシュし中断の原因を取り除く.
パイプラインステージには優先処理のみが存在し,中断されることなく実行される.
非優先処理はフラッシュされたところから再実行され,優先処理を中断しない状況になるまで上記フラッシュが繰り返される.
ソフトウェアシミュレータによる性能評価とOROCHIを実装したASICの消費電力測定より,
優先処理のエネルギー効率を平均6.0%改善することができた.

【会議の内容】
本会議は,タイトルの「Parallel and Distributed Computing and Networks」のとおり,様々な分野の研究者が集まり議論を行う.
Suparda Laosooksathiらによる「Stream experiments: Toward latency hiding in GPGPU」では,
CPUとGPU間のデータ転送のレイテンシの増加がGPGPUでの実行性能を大きく減少させる要因であることを述べていた.
行列の積計算をベンチマークとして使用し,CPUとGPU間のデータ転送をオーバラップさせることで,レイテンシ削減し,高速実行する手法を提案している.
GPUには多くの演算器が搭載されており,その演算器を効率良く実行する手法だけでなく,CPUやメインメモリとのデータ転送が性能に大きく影響することを知った.

【研究技術交流】
海外の研究者から,既存プロセッサとの違いについて,提案プロセッサをマルチコア化について,それぞれ質問された. 前者については,述べていた既存プロセッサについて詳細を把握しておらず,関連研究についての情報収集が不足していたことを実感した. 後者については,提案プロセッサとマルチコアとの比較が重要であることを説明した. 次の海外発表では,さらに良い発表を行えるよう博士後期課程での研究と関連研究調査に取り組んでいきたい. 最後に,修士論文のテーマを海外発表できるまでご指導とご討論を頂いた先生方と学生の皆様に感謝致します.