【発表内容】
タイトル: "A Comparison Study on the Coordination Between Developers and Users in FOSS Communities" 概要: 地理的に分散された開発環境をとるソフトウェア開発の理解を目的とした、研究が盛んに行われている。従来研究では開発者同士のコミュニケーション構造の分析が盛んに行われていたが、一方でソフトウェア開発の重要な役割としてユーザの存在が指摘されている。本研究では,2つの著名なFOSSコミュニティを対象に開発者とユーザの構築するコミュニケーション構造について分析を行った。 分析の結果、高いモチベーションを持ち開発者とユーザの橋渡しを勤める人物の存在が分散開発が成功するための重要な要因のひとつであることが明らかとなった。 【会議の内容】 近年,オフショア開発などの地理的に分散された開発環境が盛んにとられている一方で、分散開発環境は参加者同士の議論や相談などにかかるコストが増大しがちであるという問題を持つ。従来、ソフトウェアプロジェクト内での調和の理解を目的とした研究が盛んに行われてきた。本研究では分散開発環境での参加者とソフトウェアの調和に対する"コミュニケーションギャップ"に着目し分析を行う。対象とする"ギャップ"は2人の開発者が同時に同じコードを改良していたといったものであり。リアルタイムでのコミュニケーションの困難さから発生するものである。分析の結果、協調作業を支えるブローカーがギャップの低減に貢献していることがわかった。 【研究技術交流】 研究に対する多くのコメントが得られた。 ・コミュニケーションデータに限らずソフトウェアリポジトリと照らし合わせた分析が必要ではないか。 ・分析対象プロジェクトのユーザ層の違いを考慮に入れて分析する必要がある。 |
【発表内容】
"QoS Adaptation in Streaming 3D Graphics for FAIRVIEW" 【会議の内容】 本会議は、マルチメディア分野において高いインパクトレート(http://www.cs-conference-ranking.org/conferencerankings/alltopics.htmlでは 0.75)を誇る会議である。 会議の主旨としては、速報性やインパクトの大きな議題が求められる傾向にあり、採択倍率は3〜4倍である。近年では、ネットワークゲームのようなネットワークインタラクションに関する分野を含め、活発に議論されている。 今回の会議では、Wei-Lun Sung、Shun-Yun Hu、Jehn-Ruey Jiang の発表したSelection Strategies for Peer-to-Peer 3D Streaming が特に注目に値する。 この発表では、Networked Virtual Enviromnets(NVE)分野において、注目されているSecound-Life (http://jp.secondlife.com/) にUserInterestを導入し、3D オブジェクトのストリーミングをP2Pベースで制御する手法を提案している。UserInterestによるストリーミングの制御は、NVE分野において、ホットな話題の一つであり、新規性、速報性の観点から、注目すべき発表である。 また、Wei Cheng、Wei Tsang Ooiの発表したReceiver-Driven View-Dependent Streaming of Progressive Mesh では、UserInterestを用いたocclusion controlを提案し、会場にてデモを行った。occlusion control自体の新規性は薄いものの、UserInterestとの親和性が高くなるようにアレンジしており、今 後、NVE の分野において、数多く引用される可能性が高い。 |
【発表内容】
タイトル:Evaluating Degree of Danger in Driving Behavior without Right of Way When Entering a Non-Signalized Intersection (F2008-02-028) 現在の自動車社会において出会い頭事故が非常に問題となっている。非優先側から無信号交差点に進入するドライバは、多くの衝突対象物(歩行者、自転車、バイク、自動車)の進行を妨げることなく安全に通過する必要があり、これができていないために事故に至ると考えられる。そこで、ドライバの運転行動(速度、視線移動)に着目し、その運転行動が各衝突対象物に対してどの程度安全な運転行動を行っていたのかを評価するための評価手法を提案した。この評価結果から、ドライバが各衝突対象物に対してどの程度の意識を持って運転していたのかを推定でき、より効果的な安全運転教育や運転支援等に応用することができると考えられる。以上の内容について報告した。 【会議の内容】 Visual Warning Method Using Attentional Induction by Light Flashingとの研究で、LEDを発光させることによって、警報を素早く、かつ正確にドライバに知らせるための方法を提案している。実験はドライビングシミュレータを用いており、カーナビのディスプレイでの警報、LEDを用いた方法、警報なしの3パターンで比較した結果、LEDでの警報が対応する時間が一番短かったと報告していた。 私の研究内容は、ドライバの運転行動を評価し、その評価結果を教育、あるいは支援システムに活かそうとするものである。実際に新しい支援システムが開発されたとき、その支援内容、たとえば警報などをドライバにどのように伝えるかは、非常に重要な問題である。さらに、事故を防ぐためのリアルタイム支援システムにおいては、ドライバはできるだけ早く警報に気付き、行動を変え、事故を防ぐことが必要である。こうした観点から、紹介した研究は非常に有用であり、私自身の研究にも参考になると考えている。また、この研究の発表者との交流により、この発表者にも私の研究に興味を持ってもらうことができた。こうした交流を重ねることで、より広い視野を持って研究を行うことができるのだと感じた。 【研究技術交流等】 先に紹介した研究の発表者と、自動車の安全技術について多くの議論を交わすことができた。私自身はドライバの評価手法についての研究であるが、この発表者は警報の提示方法についての研究である。この二つのテーマは、「ドライバの状況を理解し、支援するシステム」という点で密接に関わりのあるものである。自分の研究だけでなく、その研究が応用されていく先のことまで考えることが重要であり、それを見据えた上で研究を進めていくことが大切であると実感した。 また、フランスのある企業の方の講演において、人間と自動車の関わりあいについて非常に考えさせられた。自動車はどんどん進歩しているが、人間そのものはほとんど進歩していない。今の自動車は、人間にとって本当に使いやすいものにはなっていない、といった内容であった。私自身もそう感じており、人間と自動車が調和することによって、自動車の運転がより楽しくなるとともに、事故を減らすことができるのではないかと考えている。 |
2008.10.8 - 10 ドイツ、カイザースロータン
The International Symposium on Empirical Software Engineering and Measurement 2008 The International Advanced School on Empirical Software Engineering ソフトウェア工学講座:博士後期課程2年
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【発表内容】
発表では、ソフトウェアメトリクスに基づくfault-prone モジュール判別の精度向上を目的として、相関ルール分析とロジスティック回帰分析を組み合わせたfault-proneモジュール判別手法を提案する。提案手法では、与えられたモジュールに対し、重要なルール(支持度、信頼度、または、リフト値の大きなルール)が存在する場合は相関ルール分析によって判別し、そうでない場合は、ロジスティック回帰分析によって判別する。 提案手法の判別性能を評価するために、3 つの代表的なfault-prone 判別モデル(ロジスティック回帰分析、線形判別分析、分類木)の性能とを比較する実験を行った。Eclipse プロジェクトから収集したデータセットを対象とした実験の結果、重要とみなすルールの選択にはリフト値が適していることが分かり、リフト値に閾値を設けてルールを選定することで、判別精度を表すF1 値が従来手法と比較して0.163 向上した。 【会議の内容】 ドイツのカイザースロータンで開かれたESEM2008とIASESE2008はソフトウェア工学を扱う会議である。優れたと思う発表の1つは、N. Mittas, L. Angelisの"Combining Regression and Estimation by Analogy in a Semi-parametric Model for Software Cost Estimation"であった。パラメトリックな手法であるRegression Analysis(RA)と、ノンパラメトリックな手法であるEstimation by Analogy(EbA)を組み合わせた開発工数の予測手法を提案していた。私自身もバグモジュールの予測で、2種類のモデルを組み合わせる手法を研究しているので、参考になった。 |
2008.10.8 - 10 ドイツ、カイザースロータン
The International Symposium on Empirical Software Engineering and Measurement 2008 The International Advanced School on Empirical Software Engineering ソフトウェア工学講座:博士後期課程3年
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【発表内容】
"Fit Data Selection for Software Effort Estimation Models" ソフトウェア開発工数を高い精度で見積もることは、コストの面から非常に重要であり、その見積もり手法の1つとして重回帰分析を用いた見積もり手法が存在する。本研究では重回帰分析を用いた見積もりの精度を改善することを目的として、予測対象のもつ特徴に合わた選定を見積もりに用いるデータに対して行った。その結果、提案手法の適用によって見積もりの精度が向上することが示された。 【会議の内容】 今回、ESEM2008、ASESE2008という2つの会議に参加した。これらはソフトウェア工学を主として扱う会議である。特にESEMは今回が2度目の開催であるが、その前身となる会議を含めると数多く開催されてきた、重要度の高い会議であるといえる。会議では私の研究に近い分野の研究を行っている方々の発表を数多く聞くことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。特に、見積もり精度の評価に従来利用されてきた指標について、さまざまな面から詳細な検討を行い、その指標を利用する上で考慮すべきことや、その指標自体の持つ特徴について詳細に議論を行った結果について述べた発表があり、非常に興味深く感じた。 【研究技術交流等】 食事やバンケットでは、海外の研究者と交流する機会があり、互いの専門分野に関する意見交換が行え、有意義な時間を過ごすことができた。 |
2008.8.1 - 5 ドイツ、ミュンヘン
The 17th International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2008) ロボティクス講座:博士後期課程3年
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【発表内容】
The title of my paper is "Model-based hand pose estimation using multiple viewpoint silhouette images and Unscented Kalman Filter". It addresses pose estimation of a hand in motion through a model-based vision-based system. Previous research on human hand tracking and pose estimation usually suffers from limited number of degrees-of-freedom estimated, camera orientation (i.e., the hand is restricted to a particular pose while moving) and occlusion. We describe and evaluate a system that allows several DOF of the hand to be estimated without hindering its motion and while minimizing occlusion. To allow for a complete 3D motion, a voxel model and a skeletal model of the hand are used. The system uses multiple viewpoint cameras to obtain information of the hand motion. Due to the non-linear characteristics of the system, unscented Kalman filter (UKF) is used to track the hand motion. UKF estimates the hand pose by minimizing the difference between the skeletal model and the vox el model. Estimation results from different hand motions of up to 15DOF show the feasibility of the system. 【会議の内容】 The conference addresses a wide range of issues involving robots from fundamental issues in coexistence of robots and humans to technological systems and architectures. The conference was composed of paper presentations and workshops that include the following topics: The workshops include technical topics on imitation robotics, cognition systems for robots, non-verbal communication systems, as well as philosophical/psychological discussions on impact of fictional robots on robot design, and evaluation of social acceptance and societal impact of robotic agents. The papers covers topics such as skill training for robots, development and evaluation of haptic systems, gaze tracking, pose and gesture recognition, and robot emotion interaction model studies among others. In summary, the papers cover real-world application areas such as rescue, assistance, care, education, or entertainment require cognitive and social skills in order to provide safe, intuitive, and efficient interaction and goal-directed proactive behavior. The conference acknowledges that the gradual acceptance and maximization of robot capabilities in our daily lives require the development of a myriad of technologies and looking for answers that include philosophical and psychological issues. As mentioned in the proceedings, "RO-MAN brings together a broad interdisciplinary community of students and scientists of psychology, cognitive science, computer science, robotics, and more". 【研究技術交流等】 The conference was a good venue for me to share my research and to learn from others. It was really interesting to see that some problems which I have to deal with in my own research have potential solutions from other fields of robotics. In fact, I had the opportunity to meet and befriend some researchers from the other labs and universities. This has opened up a lot of possibilities and opportunities for me, now and in the future. This has made me realize how much one can learn when knowledge is shared with other people, especially with people who have the same passions and concerns as I do. |