サイバネティクス・リアリティ工学研究室

現実感を自在に操り人の能力を拡張する

教員

  • 清川 清

    教授:清川 清

  • 内山 英昭

    准教授:内山 英昭

  • 酒田 信親

    客員准教授:酒田 信親

  • 磯山 直也

    客員准教授:磯山 直也

  • PERUSQUÍA-HERNÁNDEZ Monica

    助教:PERUSQUÍA-HERNÁNDEZ Monica

  • 平尾 悠太朗

    助教:平尾 悠太朗

研究を始めるのに必要な知識・能力

人間の知覚・認知・心理・身体機能などに強い関心があり、人類を科学技術でもっと幸せにしたいと考えていること。ものづくりが好きで、諦めない粘り強さがあること。数学と英語にアレルギーがないこと。

研究室の指導方針

様々な背景の学生が集うので、配属後はVR系のものづくりのチームプロジェクトに参画し、基礎的な技能や協調性を養ってもらいます。研究テーマは学生の希望を尊重し、スキルや経験を考慮してじっくり決めていきます。画像処理、電子回路、ロボットなど、一人ひとりの得意分野を活かし、社会での実用を視野に入れつつ、世界的な研究となるようみんなで育てていきます。留学生や外国人来訪者、海外との共同研究が多いので、英語でのコミュニケーションを楽しめる姿勢を育みます。最終的に最難関の国際会議や論文誌への投稿を目指します。

この研究で身につく能力

大学院で研究するということは、そのトピックで世界のナンバーワン、オンリーワンになるということです。自身の研究の価値を説明し、科学的に検証する必要があります。そのために必要な、良いアイデアを生む発想力、アイデアを具現化する実行力、それを人に伝える発信力は日々の研究活動で自然に鍛えられます。幸い拡張現実感やバーチャルリアリティ、画像処理、機械学習、それらを駆使した人間拡張などの技術は現在大変注目を集めています。これらは今後数十年間、人類の幸せとは何かを問いなおすような大きな社会変革の原動力となる核心的技術です。その先端技術を学んだ皆さんは、必ず社会から求められる人材になるでしょう。ぜひ大きなビジョンを持って活躍してほしいと願っています。

修了生の活躍の場

修了生は博士後期課程への進学の他、パナソニック、富士通、リコー、IBM、ソニーなどの電機系、NTTコミュニケーションズ、サイバーエージェント、ヤフー、DeNAなどの通信・IT系に多く就職しています。

研究内容

図1: 研究分野

図1: 研究分野

図2: 超広視野 HMD

図2: 超広視野 HMD

図3: ノイズキャンセリングゴーグル

図3: ノイズキャンセリングゴーグル

図4: 表情の強調

図4: 表情の強調

何を研究しているのですか?

「サイバネティクス」は人とシステムを統一的に扱う学問のことです。「リアリティ工学」は現実感を操作するあらゆる技術を総称する造語です。サイバネティクス・リアリティ工学研究室では、身につけることで現実感を自由自在に操作し、新たな能力を獲得する、人間に対するプラグインあるいはエクステンションモジュールとしての情報システムについて研究しています。ひとことで言えば、未来の道具や超能力をマジメに創ろうとしています。
私たちは眩しければサングラスをかけ、聞こえにくければ補聴器をつけます。私たちは現実世界の見え方、聞こえ方、感じ方を操作・調整する様々な道具を使っているのです。バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実感(AR)、コンピュータビジョン、機械学習、生体情報処理などといった様々な先端技術を駆使することで、より自由自在に現実感を操作することができます。
こうした未来の道具を用いることで、障害を補ったり、新たな能力を獲得したり、人間の可能性を無限に拡げることができるのです。これにより、ひとりひとりのTPOに寄り添った「パーソナライズドリアリティ」を提供し、より便利に、より快適に、あるいはより安心して生活できることを目指しています。こうした情報システムを通じて、すべての人々がそれぞれの能力を最大限に発揮して助け合う、インクルーシブな社会の実現に寄与したいと考えています。研究室の略称であるCAREには、人をケアして寄り添うという意味も込められています。

具体的にはどのような例がありますか?

人や環境の状態を知るセンシング技術、感覚を操るディスプレイ技術、道具と人の関わり方を考えるインタラクション技術を3つの柱として、様々な研究開発を行っています。

例えば、人間の視野に匹敵する超広視野HMD、眼を凝らすと注視箇所が自動的にズームするゴーグル、実際には動くことなく滑らかに視点を変化させて今いる部屋を上から眺められるゴーグル、周囲の人を小さくして満員電車であっても空いてるように感じられるゴーグル、顔表情を強調してお互いの気持ちが伝わりやすくなるビデオチャットなどを開発しています。視覚以外にも、向きを変えられる強力なファンを用いて風の力で目的地まで誘導してくれるナビゲーションシステムや、座ったままなのに歩いた感覚が得られるブーツなどを開発しています。

他にも様々な研究を実施しています。詳しくはホームページ(https://carelab.info/ja/)をご覧ください。

研究設備

様々なHMD、機械学習用ハイエンド計算機など

研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など

研究業績

  • J. Orlosky, Y. Itoh, M. Ranchet, K. Kiyokawa, J. Morgan, and H. Devos, "Emulation of Physician Tasks in Eye-tracked Virtual Reality for Remote Diagnosis of Neurodegenerative Disease," IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (TVCG), Vol. 23, No. 4, pp. 1302-1311, 2017.
  • J. Orlosky, T. Toyama, K. Kiyokawa, and D. Sonntag, "ModulAR: Eye-controlled Vision Augmentations for Head Mounted Displays," IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (TVCG), Vol. 21, No. 11, pp. 1259-1268, 2015.
  • A. Plopski, Y. Itoh, C. Nitschke, K. Kiyokawa, G. Klinker, and H. Takemura, "Corneal-Imaging Calibration for Optical See-Through Head-Mounted Displays," IEEE Transaction on Visualization and Computer Graphics (TVCG), Vol. 21, No. 4, pp. 481-490, 2015.


共同研究

豊田中央研究所、TIS、パナソニック、東北大学、核融合科学研究所など



社会活動

日本バーチャルリアリティ学会理事、IEEE Virtual Reality Steering Committee Memberなど



外部資金

文部科学省・科研費(基盤A×1、基盤B×3、基盤C×1、若手B×1)など