14:15〜14:45 (606会議室)

  「情報システムの設計技術の革新と言語の役割」 渡邉 勝正 教授




半導体回路技術の進展によるコンピュータの性能の飛躍的な向上に伴い、情報機器に 対する要求は益々多様かつ大規模になり、その変化も速くなっている。高性能な情報シ ステムの設計と実現にはハードウェアとソフトウェアの適切なバランスが不可欠である 。そのため、設計者の優れたアイディアを忠実に表現して、効率良く、正確に実現する 新しい設計・開発技術が求められている。ここでは、設計の流れと各ステップにおける 特徴とツールとの関係について考える。とくに次の2つの面から、われわれの研究室で 進めている研究を、具体的な例を含めて紹介する。

(1) 能動形計算システム
ソフトウェアの設計では、制御の流れを明示的に表現するだけでなく、計算状況に応 じて計算手順が動的に決まるような表現を考えている。条件の発生によって自ら起動す る能動関数や能動メソッドである。この考えは、エージェントやアクティブデータベー スの基盤になるものである。これは、設計仕様の発展と柔軟な変化に対応すること、設 計者の断片的な考えを表現すること、既存の関数を選択して再利用すること、ハードウ ェアとのつながりを表すことなどに適している。応用例として、手話単語学習支援シス テムとインターネットへの拡張計画、建築空間設計における提案型CADをとりあげる。

(2) コデザインと高位合成
ハードウェアとソフトウェアの適切な分担の大きな切り分けは設計者の力量に依存す ることになるが、情報機器に対する要求の多様性、それが稼働する環境へ柔軟に対応す るために、コンピュータによるハードウェアとソフトウェアを切り分ける支援が求めら れる。そこで、設計を記述する統一的な言語、ハードウェア/ソフトウェアの協調設計、 可変部分をもつハードウェア、ハードウェア部の高位合成、設計検証などの研究を進め ている。例として、Javaプロセッサと組み込みシステムへの発展、リアルタイム画像境 界検出回路、Cプログラムからのハードウェア記述(VHDL記述)の生成をとりあげる。





情報科学研究科 広報WG
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