ユビキタスコンピューティングシステム研究室の冨田 周作さん(博士前期課程1年)が情報処理学会関西支部 支部大会において、学生優秀発表賞を受賞しました。(2020/9/20)

 情報処理学会は、1960年に設立され、コンピュータとコミュニケーションを中心とする情報処理関連の学術及び技術の振興をはかることで、学術、文化、産業の発展に寄与することを目的としています。2020年9月20日(日)に開催された情報処理学会関西支部 2020年度支部大会は、新型コロナウイルス対策のため全ての発表がオンラインで実施されました。本年度の大会では、全94件の発表の中から学生優秀発表賞が5名、ジュニア会員特別賞7名、支部大会奨励賞19名が受賞しました。 tomita
  • 受賞者 Awardee:
     冨田 周作

  • 受賞研究テーマ
    "Federated Learning over DTNによるオブジェクト認識モデルの地域間での共有手法の検討"
     近年のICTの普及および活躍により、AIやIoTなどの最新技術を活用した観光サービスが登場している。それらの技術の今後の発展によってより高度な観光サービスにつながると考えらえる。その一例として、観光地の映像からその場所の混雑度などの観光地の様々なコンテキストを認識する例が挙げられ、観光客の行動判断の支援のような高度なサービスとして一般に提供できると予想している。そのような多様なコンテキストを映像を介して認識するためには、物体認識モデルが有効であるが、観光地のあらゆる映像からデータを収集し学習する必要がある。しかし、収集されたデータの中には人の顔などのプライバシに関連する物体も映る可能性があるため、プライバシの侵害につながる恐れがある。このプライバシの問題を解決する手法としてFederated Learningが挙げられる。Federated Learningとは、異なるデータを持つ複数デバイス上で訓練されたモデルを一ヶ所のサーバで統合し、間接的にそれらのデータを全て学習したモデルを構築する手法である。この手法により、プライバシを含むデータでも学習することが可能となる。しかし、この手法はネットワーク環境に依存し、デバイスが広範囲に広がると、通信費やネットワーク帯域を多く消費する。そこで、私の研究では、ネットワーク環境に依存せずに、Federated Learningを実行する手法の検討および、その手法を用いた観光オブジェクト認識モデルの構築を検討する。今回の発表では、奈良県の観光地(奈良公園、春日大社、東大寺)の観光オブジェクト(鹿、鳥居など)を認識するモデルを、他のユーザとデバイスと共有しながら構築するというシナリオで3つのユースケースを適用しその有効性を比較した。ユースケースでは、通信可能になったデバイスとランダムに共有、通信可能になった順に共有、互いのデバイスの持つデータに関する情報を参照して共有するという3種類のユースケースを用意した。それぞれのユースケースで比較を行ったところ、デバイスの持つデータに関する情報を参照するユースケースが最も有効であるという結果になった。

  • 著者 Authors:
     冨田周作、中村優吾、諏訪博彦、安本慶一

  • 受賞者のコメント Awardee's voice
     オンライン開催という学会からしても初の試みの中で、自分が学生優秀発表賞を受賞するとは夢にも思いませんでした。今回発表した研究についてはこれから本格的に進むと思うので、より良い研究成果を出せるように努力したいと思います。

  • 外部リンク Links to:
     情報処理学会 関西支部 HP: http://kansai.ipsj.or.jp/

>> ユビキタスコンピューティングシステム研究室 Ubiquitous Computing Systems lab.