IST-IS-MT1811247: Maki Yasuhiro

信号損失に対してロバストな制御系設計 ―切り替え型状態推定と2自由度構造―

牧 泰宏(1811247)


近年の通信・計測技術の発展に伴い,機器間の通信に無線のネットワークを利用する制御系の実装,要素技術の研究が活発に行われている. このような技術を取り入れたシステムは,従来の1対1の有線回線を用いたシステムと比較して,ハードウェアレイアウトが非常に簡潔である. それによって,設備の導入・保守が容易でコストも低く抑えられるという利点がある反面, 通信路の混雑等によるパケットロス(信号の損失)の発生をはじめとしたネットワーク特有の問題を有する. パケットロスは,制御性能の劣化・制御対象の不安定化にも繋がり, その発生に対してロバストな制御器の設計指針が必要となる.

この問題に対し,パケットロスの発生をサンプリング周期の切り替わりとみなして制御器を設計する手法の提案がなされている. この手法は,制御対象の安定化を保証するものであり,目標値への追従性能等の考慮がなされていないという欠点がある. 本発表では,ランダムなパケットロス発生下で制御対象の安定化を保証しつつ,更に制御性能を考慮にいれた制御器の設計手法を提案する. その有効性は,数値シミュレーションおよび実機実験を通して検証する.