ヒトの協働タスクにおけるヘ゜ア動作内の 役割変化に関わる因子の実験的検証
土井畑 禅 (1811184)
ヒトは協力して共通の目標を達成することができる.そこには, お互いの情報交換と相互作用ルールが存在する. 特に, 2人でテーブルを移動させるときや社交ダンス,作業療法士と患者のリハビリテーションなどにみられる, 物体や身体を介した運動相互作用ではリーダーとフォロワーといった非対称な役割を担う. しかし, このような非対称性が生じる要因は, 運動相互作用では体系的に十分に理解されていない. そこで本研究では, 2人が協力する必要のある共同タスクをロボットマニピュランダム(TVINS)を用いて設計し, 実験を通してヒトの協働における非対称な役割の発生の要因を調査した. 本実験では2人の被験者が協力して仮想梁を水平に保ちながら始点から終点へ運搬するタスクを行う. このとき, 梁のモデルダイナミクス, 剛性, 視覚情報をマニピュランダムで操作することで役割の発生にどのように影響するのかを調査した. タスク中の被験者の動作を, ロボットマニピュランダムで計測された力と位置から, その差と相関を定量的に評価した.その結果,梁のダイナミクスモデルの違いにより, 2人の被験者間のリーダーとフォロワーの関係が定義され, この関係は剛性値に依存することを確認した. 一方で, 視覚情報は結果に影響しなかった.同様のタスクを個人による両腕で行った場合も, ペア実験と同様の傾向を示した.