近年，多端末へ同時に送電を行うワイヤレス給電（WPT）技術が報告されている． 単一の送電端末が複数の受電端末と結合するWPTにおいては，最大伝送効率を達成する端末側負荷抵抗を求める手法や端末への電力配分法等が報告されており，主に電磁界解析および等価回路解析が行われている． しかしながら給電エリアを広域化する目的で送電側結合器のサイズを拡張した際には，電圧・電流密度の分布が線路内で一様でなくなる場合があり，回路変換において分布定数回路としての扱いを考慮する必要がある．
そこで本研究では新たに，大規模WPTシステムにおける等価回路変換の手法を提案する． 送電側結合器として仮定した大規模な平行二線路が複数の受電端末と結合した状態を，集中定数回路と分布定数回路の組み合わせとして変換することで解析モデルの構築を行った． 本発表では，実機実験により提案する回路変換手法の有用性を検証するとともに，解析した回路モデルを用いて大規模送電線上における受信電力の位置特性に関する検討結果について述べる．