心電図を用いた不整脈自動分類における半教師あり・教師なし深層学習手法の有効性検証

川崎 聡大 (1811079)


一過性の不整脈に対して検査を行う場合は,ホルター心電図測定などの長期的な心電図測定が行われることが多い. 被測定者は,小型のホルター心電図計を用いて家庭での長期測定を行う. 測定後に医師が目視による診断を行うが,測定時間は24時間を超えるため,それらの診断には大きな負担が伴う. 近年では,機械学習を用いて自動で不整脈を検出する研究が盛んに行われている. しかし,それらの多くは教師あり学習に基づくものであり,学習に用いる教師ラベルの作成には膨大な手間やコストが必要であるという課題がある. 本研究では,半教師あり学習および教師なし学習による,不整脈分類およびクラスタリングを行い,これらの手法が教師ラベル作成支援・不整脈診断支援へと応用可能であるかを検証した. その結果,半教師あり学習の検証では,少数の教師ありデータでの学習において,教師あり学習よりも高い精度の分類が可能であることがわかった. また,教師なし学習の検証では,そのクラスタリング結果がデータの教師ラベルクラスを反映したものとなり,ラベル作成支援や診断支援へと応用できる可能性が示唆された. これらの手法により、ラベル作成のコスト問題が軽減され、機械学習での不整脈自動分類を適用できる不整脈の種類が増えることを期待する。