2系統同一周波数のワイヤレス給電におけるアイソレーション構造を有した定電圧回路の設計

川合 崇大


本研究は, 2系統同一周波数のワイヤレス給電システムにおけるアイソレーション構造を有する定電圧回路の設計手法を提案する. 一般に電子機器は電源から変動しない電圧が供給されることを前提としており, 1系統のワイヤレス給電システムでの定電圧回路の実現は成功している. 2系統同一周波数のワイヤレス給電システムでは, クロスカップリングの影響により, 各負荷で出力電圧を一定にする回路構造は提案されていない. そこで本研究では, 2系統同一周波数のワイヤレス給電システムにおける定電圧回路の設計手法を理論解析から導出し, その達成手法を2通り提案する. 一方は, 送電コイルと受電コイル間の結合部の回路の等価回路変換を行い, 等価回路変換後の回路から, 回路のリアクタンスを打ち消すための補償回路を挿入することでコイル間に存在するクロスカップリングの影響を抑制することで, アイソレーションと同時に定電圧回路を実現する手法を提案する. 他方では, 一方で提案した回路よりも, より素子数を減らした簡易な構成の設計手法を提案する. 本研究にて任意の系統数での定電圧回路の設計方法を示すことで, ワイヤレス給電の理論体系のうち, 系統間の物理的距離が近い場合の定電圧回路の設計の進展に貢献する.