意図的な電磁妨害下における逐次比較型 ADC出力の真正性評価に関する研究

江頭 智也 (1811036)


実世界のセンシングにより得られる情報を物理層で処理するADC(Analog to Digital Converter)の出力値が改ざんされた場合、出力データを用いて処理を行う上位レイヤのサービス全ての信頼性を著しく低下させる新たな脅威となり得る。ADCは基準電圧とアナログ入力電圧の比較により、アナログ値をデジタル値に変換しているため、機器外部から意図的な電磁妨害によって基準電圧やアナログ入力電圧の値が変動した場合、ADCの有効ビット数が著しく低下し、ADC出力の真正性が失われる可能性がある。
本論文では、意図的な電磁妨害がADCの出力に与える影響を評価するために、ADCの有効ビット数に着目し、ADC出力の真正性を評価する。具体的には、汎用的なADCを搭載した評価ボードを用い、評価ボードに接続された電源線に正弦波を印加し、ADCの有効ビット数を指標として真正性を評価する。さらに、実験結果に基づき、意図的な電磁妨害時にも真正性の保障されたデータを出力可能となる対策技術についても議論を行う。