陸上100m走競技において、走行姿勢を定量的に計測することは重要である。計測結果から良い走行動作、悪い走行動作を定量的に分析することによって、走行動作の相違を数値で理解することができ、改善に有効な分析やトレーニング策定を行うことができる。しかし、現在の計測手法は特殊装置を用いなければならず実際のトレーニング現場で使用することは難しい。 本研究では1台のRGBカメラと高精度人体3次元モデルを用いて走行動作を計測する手法を提案する。本手法は、撮影された画像から陸上100m走環境における人物位置を特定し、その後画像内の人物領域とCG画像内の高精度人体3次元モデル領域を重ね合わせることで、姿勢を推定する。姿勢を推定する際、陸上100m走という限られた状況を利用し、多自由度の姿勢パラメータ推定問題を取り扱いやすい問題に置き換える処理を行う。
実験では、 目標画像をCG画像とするシミュレーション環境において、真値との比較を行った。その結果、単一フレーム処理において、各関節の平均誤差約3度未満の精度で人物姿勢推定が可能であることを確認した。