意味的領域分割を用いたアニメ線画の自動彩色

石井 大地


アニメ制作における彩色の工程は,大量の線画に対して色見本で指示された通りに彩色する必要があり,ツールの補助は受けているものの未だ手作業で行われているのが実情である. そこで,本研究ではアニメ線画における彩色作業の自動化を目的とする. 実写やイラスト画像を自動でカラー化する研究は行われていたが,色ムラ, 輪郭線を超えた色のしみ出し, および指定された色以外の表出があるため,ベタ塗りが求められるアニメの彩色にそのまま適用することは難しい. そのため,本研究では,キャラクタにおけるベタ塗りの各色を意味ラベルとみなすことで,線画の彩色にセマンティックセグメンテーションの枠組みを用いる. さらに,ピクセル単位で推定された意味ラベルに対して,後処理として,ベタ塗りの単位となる閉領域を抽出し,この領域に基づいたクリーニングプロセスを適用することで,誤りを低減し,実制作におけるアニメ特有の彩色が可能な自動彩色手法を提案する. 提案手法では実制作時に使用されたアニメのデータセットを用いてメインキャラクタを彩色対象として評価し,既存手法では考慮されていなかったアニメの特徴を捉えた彩色手法の有効性を確認した.