多線式平行線路を用いたワイヤレス給電システムの特性評価

宮本 敬信(1751114)


 近年,送受電コイル間の磁界結合に基づくワイヤレス給電技術はあらゆる分野へ応用されつつある. その中で,魅力的なアプリケーションの一つに走行中給電があげられる. 走行中給電は,その名の通り移動している端末に対して電力をワイヤレスに給電する技術のことで, 地面に設置した送電コイルから移動体に取り付けた受電コイルに向けて電力が無線で供給されることにより移動しながらでも充電が可能となる. 用途としては公道を走行する電気自動車や工場内の自動搬送ロボットが見込まれているが, これらの端末は広範囲を移動することが想定されるため広域への給電エリアの実現が要求される.

 以上を踏まえて,走行中給電システムにおける送電コイルの大規模化が必要になると想定される. 従来研究では,広域への給電エリアを実現するために給電エリアを容易に拡張することが可能な平行二線路システムが提案されている. しかしながら,この平行二線路システムでは線路の延長により,送電コイルの抵抗成分が増加して伝送効率の低下を招くといった問題があった. そこでこの問題に対処するために,本研究では新たに線路を追加した多線式平行線路を提案する. 外線に並列に線路を追加した四線式平行線路では,平行二線路と比較して線路の抵抗値の減少と電磁界の多重化によって伝送効率の最大値が増加すると期待できる. 本研究では,電磁界シミュレーションより本提案の効率拡大効果を確認するとともにその諸特性を評価する.