自動走行ストレス要因推定のための搭乗者の生体情報と走行環境データ収集システムの構築

松本 愼太郎


自動走行環境における搭乗者は,運転動作から解放されることによって,自動走行ストレスと呼ばれる自動走行システムに対しての不安や恐怖を感じる. 自動走行車両の継続利用のためには,自動走行ストレスの要因を実時間推定し,ストレスを軽減する必要がある. ストレス要因の実時間推定は,搭乗者の生体情報をもとに行うことができるが,情報遅延などの課題から実現は難しい. しかし,車両の走行環境データと搭乗者のストレス情報との関係を学習することにより,ストレス要因の実時間推定が可能になると考えられ,そのためには,それらのデータの大規模な収集が必要である. 既存研究では,自動走行ストレスの要因推定を行うための,車両の走行環境情報や搭乗者のストレス情報が含まれる大規模なデータセットの収集が行われておらず,そのための手法も構築されていない.

本研究では,自動走行ストレスの発生要因を推定するための,自車の挙動情報・車両の外部環境情報・搭乗者の生体情報からなるデータセットを定義し,そのデータセットを簡便に収集可能なフレームワークを提案する. データ収集実験では,実車を用いた擬似自動走行環境や自動走行環境において,計6名の被験者に対してスマートフォンや生体情報センサを用いたデータ収集を行う. 収集したデータセットを用いて自動走行ストレスの要因推定が可能であることを示すことで,提案するフレームワークの有効性について述べる.