多くの情報機器に秘密情報が含まれており、その秘密情報を暴く脅威が存在することが指摘されている。物理層での脅威の一つとして、電磁波を介した痕跡の残らない情報漏えいの脅威がある。機器動作時に情報を含んだ電磁波(漏えい電磁波)が非意図的なアンテナ構造を介して外部へ放射され、攻撃者が漏えい電磁波を受信し、情報へと再構築することにより情報漏えいが発生する。従来このような脅威の対象は、機器からの漏えい電磁波が外部から観測できるものに限られていた。しかし、攻撃者が機器に対し、強制的な漏えいを発生させることが可能であれば、より多くの機器に対して攻撃の実行が可能となり、より多くの機器の情報を窃取することが可能となる。 そこで本研究では、電磁波照射により強制的な漏えいを引き起こす機器構造の一例としてMOSFETに着目する。MOSFETを含むマイクロコントローラを用いてデジタル通信を模擬した実験系を構築し、電磁波照射による強制的な情報漏えいの実現可能性について検討する。