コネクタのトルク値が接触境界面の高周波特性に与える影響に関する研究

成松貴(1751089)


電子機器には電磁的両立性という機器から不要な電磁波を放射せず、外部の電磁波に対して強い耐性を持つことが求められる。従来の電磁的両立性は機器単体に対しては十分検討がなされてきた一方で、複数の機器を相互接続した際の電磁的両立性については十分な検討がなされていない。中でも、相互接続部であるコネクタに接触不良が生じた場合、エミッションの増加及びイミュニティの低下が生じ、機器の伝送線路周辺の電磁環境を劣化させる可能性がある。従来の検討では、コネクタ部に大きく緩みが生じると寄生インダクタンスが増加し、放射電磁雑音が増加することが示されている。一方、コネクタにかかる微小なトルク値の変化が接触面の寄生インダクタンスに与える影響については十分な検討がなされていない。 本発表ではコネクタのトルク値とコネクタの外部導体に生じる寄生インダクタンスの関係を回路網の測定により明らかにし、寄生インダクタンスの変化が周辺電磁界に与える影響を近傍界の測定を行い明らかにする。測定の結果より寄生インダクタンスの変化の機序を考察しトルク値の観点からコネクタの緩みと電磁環境の劣化について議論する。