家庭環境において家電機器の操作は一般的なタスクであるが, 家電機器は複数の機能を持つため,ロボットがそれらを自由に操作することは難しい. これまで,画像や人の動きをもとに,機器の操作方法を学習し,知識データベースを構築する手法が提案されてきた. しかし,家電機器は複数の機能を持ち,さらに単一の操作インタフェースが複数の機能を有することがあるため, それらをすべて認識することは困難である. そのため,操作できる機器の種類や,その操作方法には制限があった.
そこで,本研究では,先行研究を拡張し,より広範囲な家電機器の操作を行うためのオントロジ構築を可能とするフレームワークを提案する. 本フレームワークは,オントロジを用いて家電機器の操作方法を記述することで,幅広い家電機器の操作に対応する. さらに,そのオントロジの構築を容易にするために,GUIと, 構築したオントロジを検証するためのシミュレーション環境を備えている. これにより,実機で利用可能な,汎用性の高いオントロジを構築することができる.
構築されたオントロジが個々のロボットに依存せずに共有可能であることを検証するために, シミュレーション空間に設置した電子レンジ操作のためのオントロジを構築し, 人型サービスロボットとしてのPepperとロボットアームとしてのLBR iiwaを用いて操作した. 結果として,同様のオントロジによって家電機器の操作が可能となることを確かめられた. 次に,構築されたオントロジが実空間のロボットに対しても適用可能であることを確かめるために,実空間のPepperにより電子レンジを操作した. 結果として,シミュレーション空間と実空間で同様のオントロジを用いて家電機器操作が可能であることが確かめられた. また,構築されたオントロジに応じて,ロボットが柔軟に動作を変更させることができることを確かめた.