エッジコンピューティング環境におけるユーザの移動性を考慮したコンテナの同期先の選択手法の提案

仲野弘一


スマートデバイスの普及により、多数のセンサから発生した大量のデータがクラウド上のデータセンタに届くため、デバイスとデータセンタ間の通信量を削減し、ネットワーク全体に流れるデータ量を削減するエッジコンピューティングと呼ばれる技術の研究が盛んに行われている。 ユーザはアクセスポイントを経由してエッジサーバと内のアプリケーションと通信を行うため、ユーザの移動により異なるアクセスポイントに接続した場合、異なるエッジサーバへ通信を行う可能性がある。 通信するエッジサーバが異なる場合、異なるエッジサーバを経由して移動前に通信していたエッジサーバへアクセスする必要があるため、通信遅延が大きくなる恐れがある。 そのため、ユーザの移動に合わせてエッジサーバ内のアプリケーションをユーザの現在アクセスしているエッジサーバへ移行することで、ユーザの通信遅延を低下させる必要がある。 しかし複数のユーザが移動する場合アプリケーションの移行先として同一のエッジサーバを選択する可能性があり、エッジサーバが一時的に高負荷になる恐れがある。 そのため、本研究ではエッジサーバ上で実行されている仮想マシンやコンテナを移行させる際に特定のエッジサーバが高負荷にならないように負荷を分散させながらアプリケーションの移行時間の削減を目的とする。 提案手法として仮想マシンおよびコンテナの移行時間とエッジサーバの負荷を考慮することで、移行に発生する通信遅延を抑えながらエッジサーバの負荷分散手法を提案する。提案手法をシミュレータ上に実装し、評価を行った。その結果、従来の手法と比較して最大 46\%の移行回数の削減が可能となった。