近年,3次元の形状をもつディスプレイが開発され普及が進んでいる.なかでも球体ディスプレイでは,球という立体的な提示面をもつことから,特に天球や惑星など球形状をもつ情報の表現において使われている.しかし,月や地球などの球形状をもつ情報は表面に高低差があったり,外側と内側の複層で成すものが多く,それらの情報を提示するにあたり,単に球体ディスプレイに表示するだけでは,起状がなく平らな印象の映像になってしまう.形状が3次元だけでなく映像も奥行き感のある情報を提示できれば,さらに臨場感や没入感のある表現が期待できる.そこで,本研究では球体ディスプレイでの立体感のある映像表現を考察するため,運動視差,影付与や,クロマデプスを使った手法について,球体ディスプレイに映像を表示した時の観察者が知覚する感覚量を評価する.また,クロマデプスによる視点距離と奥行き知覚の関係性を幾何学的にモデル化し,実験にて検証する.