新規企業参入などの競争激化によって経営が厳しい状況にある中、細かい粒度で取得可能な乗降客数のデータを活用して路線計画を見直す路線バス事業者が増えている。しかし、赤外線センサや測域センサ、測定用RGBカメラを用いた従来の乗降客数手法では、導入コストが大きく厳しい経営状況にある事業者では導入が難しい。 本研究では、バス車内に設置されているドライブレコーダやデジタルタコグラフなどの現在政府の補助金による導入が推進されている機器に着目して安価な乗降客数の推定手法を検討した。提案手法では、ドライブレコーダの映像を画像処理して各バス停ごとの乗降客数を推定し、運行管理や安全確認に用いられるデジタルタコグラフに搭載されているGPSや運行管理データベースを用いて補正を行った。具体的には、YOLOv3とDeep SORTを組み合わせた画像処理方法から推定される乗客数、バス内のGPSモジュールからのバスの位置および運行管理に使用するバス停の位置より、ランダムフォレスト分類器を使用してモデルを構築した。画像処理のみではなくセンサデータによるデータを用いた機械学習を組み合わせることによって、より高精度に乗降客数を推定することが可能になった。その平均正解率は、乗車人数で96.7%、降車人数で87.9%であった。これにより提案手法は、専用センサを用いた既存手法よりも安価な乗降客推定が可能であることを示した。