慢性腎臓病患者のための在宅食事療法支援システムの設計と開発

中嶋 達也 (1751078)


本発表では,慢性腎臓病患者の在宅食事療法の長期的実践支援を目的とした提案システムについて述べる.

慢性腎臓病患者が実践する食事療法は,慢性腎臓病の症状進行を阻止する上で非常に重要である. しかしながら,現在の食事療法の実践には様々な問題が存在するため,長期的かつ高質な継続は困難である. 本研究では,問題点を「献立計画」「調理」「栄養素管理」に分類し,各問題点に対応する機能を実装したシステムを設計及び開発した. 本発表では,最初に,システムに必要となる機能を明確にするための調査結果について述べ,調理時の調味料計量プロセスの負担に関する調査結果を述べる. 食事療法において,調理時の計量は負担であり,特に調味料の計量負担を軽減するための解決方法は明らかにされていなかった. そこで,負担の要因を明らかにするため,献立集に用いられる調味料の分類や頻度について調査した. 結果,計量に多くの時間を要する調味料は献立集において用いられる頻度が低く,計量に時間を要さない調味料は頻度が高いことが明らかとなった. そのため,特定の調味料に対するアプローチではなく,調味料全般に対するアプローチが必要であることが明らかとなった. 最後に,慢性腎臓病の食事療法の問題を総合的に解決するための,試作品として開発したシステムについて述べる. 開発したシステムに存在する問題点を明らかにするため,栄養学の専門家の検査による主観評価を実施した. 実装した機能に関する評価結果と,追加で望まれる機能,インターフェースにおいて改良が必要であると明らかになった点について述べる.