近年、技術の発展によるインターネット速度の上昇により、ブラウザなどから利用するウェブアプリケーションが増加してきている。ウェブアプリケーションはスタンドアローン型のアプリケーションとは異なり、機能追加や仕様変更が順次行われ、即座にサービスに反映できる性格が有り、したがってその開発サイクルは従来のスタンドアローン型のアプリケーションより高速である。
そのような開発現場では開発速度のために、従来のウォーターフォール型の開発で見られるような厳密な要求定義書、仕様書などが作成されず、口頭などのラフなコミュニケーションによって要求、仕様の伝達が行われる事がある。その過程で、用語やニュアンスなどの齟齬が発生し、開発が一部やり直しになってしまうという問題がある。
本研究ではまず、実際に口頭での伝達によって齟齬が発生しうるかを確認するために予備実験を行った。その予備実験の結果および被験者からのフォードバックより、簡単な要求でも齟齬が発生しうること、またその防止にテストコードが有効なことが確認できた。
よって本研究ではプランナーと呼称するプログラマーに対して要求、仕様を伝達する、プログラミング能力がない人間でも簡易的にテストを記述し、それによって正確に要求、仕様を伝達することができるような支援環境を提案、その中の新規に必要ないくつかのモジュールについて開発を行い、最後に本環境自体の有効性を実験を通じて確認した。