モバイル端末などで,隙間時間を使った学習方法としてマイクロラーニングが注目されている. この学習方法を導入することにより,学習者のモチベーションの向上や隙間時間の有効活用,学習の習慣化といった行動変容が期待されている. しかし,現在のマイクロラーニングに関する研究には,3つの課題が挙げられる. 課題1:学習者に学習を気づかせること,課題2:学習者に対して気づかせた上で学習させること,課題3:学習者に対して学習した上で知識を定着させることの3点である. そこで,本研究では,課題3の解決に焦点を当て,日常生活の隙間時間の中で効率よく知識を定着させるマイクロラーニングシステムの実現を目指す. さらに,課題1,課題2に関連する学習に有効な隙間時間の調査を行う.
そこで,本研究の目的の実現に向け,ユーザが調べた単語を自動で収集するChrome Extension,および調べた単語から語学学習の問題を出題するAndroidアプリを開発した. 本実験では,8名の実験参加者に対して,作成した単語データセットから単語の意味が既知であるかどうかを判定してもらい,単語の意味が未知であった単語からChrome Extensionを通して,検索対象単語データセット,検索対象外単語データセットが同程度になるようにデータセットを作成した. 単語検索実験後,Android端末から上記それぞれの単語データセットの単語をランダムに出題されるように設定し,1週間の英単語学習実験を通して,自由な時間に英単語の問題に解答してもらった. 実験後,学習履歴のある単語の学習効果を確認テストにより,学習履歴のない単語との比較評価した結果,学習実行率とコンテキストとの相関を分析した結果を報告する.