本研究では,まず有限のパケットロスに対してロバストな状態オブザーバの設計を行う.複数の外部センサに対しても低い伝送レートを保つため,同時に一つのセンサのみと通信を行う通信プロトコルであるRound-Robin Schedulingに対応したものとする.ただし,これは全てのセンサと同時に通信を行う設計構造を含んでおり,従来の問題設定の拡張となっている.さらに,設計したオブザーバを利用したオブザーバベース制御器の設計を行う.制御器は遠隔にあると仮定し,複数のアクチュエータに制御入力を送信する.このとき,センサ側と同様にRound-Robin Scheduling に対応させる.
ゲイン設計は閉ループ系のダイナミクスを安定化する十分条件となる線形行列不等式(LMI)として導出する.安定条件には切り替え二次Lyapunov関数の存在を利用し,従来法の設計の保守性を改善する.提案手法の有効性は数値シミュレーションにより確認する.