世界の食糧供給比率に関する地域性解析

武末 祥太郎 (1751067)


安定的な食糧供給は人類の進化や発展にとって必要不可欠なものであり、我々の活動的な生活や栄養・健康状態に大きな影響を与えている。しかし、近年、気候変動による干ばつや洪水、そして、人口増加、経済格差、軍事衝突などの社会的危機によって安定的な食糧供給が失われつつあり、2017年時点での飢餓人口は約8億人にものぼる。食糧問題の解決にはよりフードセキュリティの向上が必要とされており、特に栄養や生理的側面を考慮したフードシステムが求められている。

食糧利用の形は気候や土壌、水源などの自然条件と民族、移民、経済、貿易などの人為的要因が密接に関係し発展してきたため、食糧利用の多様性を理解するには単一国家における食糧供給ではなく、複数の国家を集合として捉えることが重要である。また、食糧による栄養や健康には食糧の消費量よりも食事パターンが関わっていることから、食糧と健康の関係を理解するためには食糧供給の比率の解析が必要だと考えられる。

そこで、本研究では世界の174カ国における75種の食糧供給比率に対して階層的クラスタリングを行い、結果として29個のクラスターを得た。29クラスター中、18クラスターで強い地域性が確認され、、それらについて地理、気候、文化、食糧の4点で特徴づけを行った。さらにそれぞれの地域における特徴的な食糧比率がもたらす栄養・生理学的影響について議論を行った。