自重トレーニング支援システムの実現に向けたウェアラブルセンサによる種目認識および主観的運動強度推定手法

髙田 将志 (1751060)


慢性的な運動不足問題を解決するための運動として,自分の体重のみを負荷とした自重トレーニングが注目されている.効果的な自重トレーニングを行うには,正しい姿勢で個々にあった運動強度を保ちながら行うことや,適切なメニューを継続的に実施していくことが重要である.近年,スマートフォンの普及により,アンケートを通してパーソナライズされたトレーニングプランやエクササイズの詳細な説明を提示する,多数のトレーニングアプリが提供されている. しかし,これら既存アプリは,実行したトレーニング種目や正しい姿勢でできたか,またその回数/秒数などのトレーニング実動時間を自動で記録したり,実行したトレーニングがユーザに対してどの程度の運動強度であるかなどの評価は提供していない.そのため,専門的な監督なしにそのような情報を提供することとなり,トレーニングが最適な効果をもたらすことができず,逆に過度のトレーニングが疲労を招き,結果として運動に対するモチベーションが失われる可能性があるという懸念が考えられる.

本研究では,それらの問題点を解決するため,初心者でも効果的な自重トレーニングを単独で行える新しい支援システムの実現を目指し,ウェアラブルセンサを用いた種目認識および主観的運動強度推定手法を提案する.具体的には,ウェアラブルセンサから取得される慣性データをもとに,機械学習手法を用いて,(1)トレーニング種目認識と(2)主観的運動強度の推定の2ステップを含む階層的アルゴリズムを導入する.

本発表では,まずウェアラブルセンサによる最適な種目認識手法の確立に向けた基礎実験を行い,その結果から得られた最適な機械学習アルゴリズム,認識可能な種目数,最適なウェアラブルセンサ装着位置の調査結果を報告する.

次に,提案手法の異なるユーザへの適応可能性,またセンサデータを用いた主観的運動強度推定手法の有効性を評価するため,計32人から収集された2つの自重トレーニングデータセット(10種目を対象にしたデータセット)を作成して行った評価実験の結果について報告する.

最後に,評価結果に基づく提案する自重トレーニング支援システムの実現性について報告する.