外部事象に起因する技術的負債についてのソースコードコメント分析
田内遥夏 (1751059)
ソフトウェア開発において,短期間で開発上の課題を解決しなければならない場合,ソフトウェア開発者はコメントを付して最善ではない解決方法,すなわちワークアラウンドを使用することがある.ワークアラウンドが使用される理由は,開発速度をあまり低下させずに課題解決できるからである.しかし,ワークアラウンドは,長期的には生産性の低下,開発課題の増加などの悪影響を引き起こす解決方法であり,技術的負債の一つとして知られている.技術的負債による悪影響を未然に防ぐためには,技術的負債の計画的な早期返済を促す必要がある.
本研究では,外部事象に存在する「他の要因」の解消を待機しているために返済できない技術的負債(待機型技術的負債)に着目する.現在,すべての待機型技術的負債における,「他の要因」の分類体系は存在していないため,本研究では待機型技術的負債に関するソースコードコメントに基づいた分類と分析を行う.その結果,「他の要因」の分類によって待機型技術的負債を返済する優先順位を決められる可能性が高いことを明らかにした.この分類基準が待機型技術的負債を計画的に早期返済する支援に役立つと考えられる.