ノード間の近接性を考慮した定数次数構造化オーバレイネットワーク

白石 裕輝 (1751055)


分散ライングラフ (DL グラフ) はライングラフに基づく有向グラフで,正則グラフに基づく構造化オーバレイネットワークを構築することを目的として提案された. DL グラフは,出次数が定数である,耐障害性やスケーラビリティに優れるといった性質を持つ. 特に,de Bruijn グラフや Kautz グラフを初期グラフとする DL グラフは最適な直径を持つため,オーバレイネットワークのトポロジとして適切である. しかしながら,DL グラフに基づくオーバレイネットワークはノード間の近接性を考慮せず構築されるため,オーバレイネットワーク上の探索遅延が大きくなるという問題点がある.

そこで本研究では,分散ライングラフに基づく構造化オーバレイネットワークにおいてノード間の近接性を考慮する手法: 近接性を考慮した分散ライングラフ (PDL グラフ) を提案する. PDL グラフは,DL グラフにおけるノード分割とノード融合に着目し,オーバレイネットワークのトポロジの拡大や縮小の際にノード間の通信遅延を考慮して局所的にトポロジの最適化を行う. シミュレーションにより,PDL グラフに基づくオーバレイネットワークが DL グラフに基づくものと比較して探索遅延を 10% 低減することを示した.